AIエージェントがもたらす旅館集客の変化がはじまる 133/100

「あなたの宿のリピーター率は何パーセントですか?」

「あなたの宿の直販比率は何パーセントですか?」

この質問にすぐに答えられないとしたら、この記事が役立つかもしれません。
新規顧客獲得に多額の広告宣伝費や販売手数料をかけ、収益性の低下に悩んでいませんか?
これまでは公式サイトの最低価格保証を設定し、検索エンジンからの直販比率拡大に重きを置いてきたネット集客ですが、今後、パーソナルなAIエージェントが宿選びのスタンダードとなることを想定し、その時が来るまでに準備しておくべき、CRMソリューションの必要性について考えてみます。


宿泊施設が抱える課題

宿泊業界では、以下のような課題が長年指摘されてきました。

  • 新規顧客獲得コストの増大: 新規顧客を獲得するための広告宣伝費やOTAへの手数料が、収益を圧迫しています。既存顧客を維持するコストが新規顧客獲得の5分の1で済むと言われる中、非効率な経営を続けているケースが少なくありません。
  • OTA依存からの脱却: OTAや旅行会社からの予約に依存しすぎると、高い販売手数料や低価格販売により、経営が圧迫されます。一度OTA経由で宿泊したお客様が、二度目もOTAから予約してしまうことで、手数料が流出し続けるという悪循環も発生しています。
  • 顧客データの活用不足: リピーターはいるものの、「なぜリピートしてくれているのか」がデータとして見えておらず、個々の顧客に合わせたサービス提供やマーケティングができていないのが現状です。

宿泊業界の未来と解決策

生成AIの発展により、宿泊業界の未来は大きく変わろうとしています。従来の画一的な検索結果ではなく、個人のニーズに合わせたパーソナルな提案をするAIエージェントが主流になるでしょう。このような時代に、従来の施設管理中心のPMSでは、顧客との関係を深めるCRM機能が不足しているのは明らかです。

旅行日程と旅行先、誰と行くかを伝えるだけで、AIエージェントが旅行スケジュールを瞬時に作ってくれて、予約までしてくれる時代は目の前に来ています。もう何万件の宿の中から検索して、根拠のない絞り込みをして、宿を決める必要はありません。(多くの場合、最後は安いプランを選択してしまっていました)
でも、これからは過去の旅行履歴やSNSのフォロー等をもとにAIエージェントがその労力を代替してくれるのです。宿泊先を探している人ですら、検索しなくなる可能性が高いのです。そうなってしまうと、あなたの宿にとって、宿泊料金の最安値だけで集客するのは最優先事項ではなくなってしまいます。

では、どうするべきか?

これから目指すべきは、リピーター率の向上による収益率と経費効率の最大化、そして顧客の生涯価値(LTV)の最大化を目標としたビジネスモデルへの転換が不可避ではないかと考えます。

そのために必要な取り組みを考えてみます。

1. 優良顧客の見える化と再定義

まずは、誰があなたの宿にとっての優良顧客なのかを明確にしましょう。単に宿泊回数が多いだけでなく、SNSで積極的に情報を発信してくれるお客様や、高単価のプランを予約してくれるお客様など、様々な視点から評価基準を設けることが重要です。これにより、漠然とした「リピーター」ではなく、具体的な顧客像を把握することができます。

宿泊回数、平均宿泊単価、平均日数、予約経路、利用プラン、予約キャンセル率、リピート比率、クチコミ投稿などを数値化してスコアリングするとあなたの宿のリピーターの特徴が見えてきます。
その他: 家族構成、年齢、居住地など、顧客の基本情報も分析の材料になります。

2. PMSとLINEの連携による顧客とのインタラクション創出

顧客との接点を増やすことで、顧客のロイヤリティ(忠誠心)を高めることができます。これまでは宿からのメールマガジンやInstgramなどのSNSで情報発信をしてきたと思いますが、それらの大半は一方通行であり、リピーターの方とダイレクトにつながるためには、多くの人が日常的に利用しているLINEで直接アプローチする方法が望ましいのではないかと思います。

  • パーソナルな情報提供: 過去の宿泊履歴や好みに基づいたプランの案内や、特別なイベント情報などを個別に配信できます。
  • スムーズな予約導線: LINEのトーク画面から直接予約ページにアクセスできるようにすることで、OTAを経由せずにリピート予約を促します。
  • 顧客の声の収集: 宿泊後のアンケートをLINEで配信したり、滞在中のリクエストをLINEで受け付けることで、顧客の生の声を集め、サービス改善に活かせます。

なによりも、直接お客様と双方向でコンタクトが取れるツールを持つことにより、これまでよりも深いお客様とのやり取りが生まれますし、これまで以上の情報を取得することが可能です。


LINEのやり取りをAIで解析させ、顧客データベースにスコアリングして登録するようなPMS連動の仕組みが生まれてくれるのが望ましいですね。そうすると、顧客一人ひとりに寄り添ったサービス提供が可能になり、顧客満足度とリピーター率を飛躍的に向上させることができるのではないかと思います。これからの時代は、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客との関係を深め、データに基づいたCRM戦略を構築することが、宿泊施設の安定的な経営に不可欠です。そのために必要なのは、新規顧客開拓のために利用しているコストと人件費、そして時間をリピーター施策のために大幅にシフトする必要があります。

検索エンジンとOTAにまかせて新規需要を求め続ける時代の終焉がそろそろ見えてきます。その変化の波にのまれないように今から準備すべきはあなたの宿に眠る「リピーター」という資産を見える化して、次に備えることではないでしょうか?