ローカルカメラマンにやってほしいこと 89/100

以前、観光情報サイトを運営していた時に全国の観光地へ取材に行ってはデジカメで写真を撮り、ホームページにアップする作業を数年繰り返していました。そうしているうちにどんどん写真を撮るのが好きになり、今ではすっかり自分の趣味の一番に定着しました。学生の頃にもカメラをいじることはありましたが、根がセコイのと面倒くさがりなので高いフィルムを買って、一発勝負で撮り、現像して整理するという作業がどうも面倒で趣味にはなっていませんでしたが、今やデジタルですから何枚撮っても、どれだけ失敗しても撮りたいだけ撮れる時代になったのは本当にありがたいことです。
今や、デジカメすら使わず、スマホでも十分な画質で撮れますし、デジタルネイティブな世代の人たちの写真を撮るうまさ、編集のうまさはインスタ等で見ていると本当に素晴らしいですよね。

そんな時代になって20年近くたつのですが、
・旅行会社のパンフレット写真
・旅館・ホテルのホームページの写真
・観光協会の観光スポット写真
このあたりは全くアップデートされず、昭和・平成の歴史遺産的(笑)に使われています。
著作権だとか、肖像権だとか、お金がないとか、いろいろ言われる時代なのでしかたないといわれればその通りなのですが。。。

観光協会はフォトストックの写真をダウンロードして使わせてくれるサービスをしているところが多いのですが、先日申し込んだある地域ではFAXで申し込んで数日後にパスワードが郵送されてきて、その後使わせていただくというアナログなのか何なのかよくわからないものでした。そうしてはじめてその地域の観光写真のデータを拝見したところ、一般的なパンフレットで使われている「説明的な」ものばかり。とても若い人たちに向けた観光集客に使えるものではなかったというのが正直な感想です。

試しに「最新情報を更新していてよく見られている情報を優先にアップしている」Googleで画像検索をしてみますと、

「京都 観光」で画像検索

そして、「京都 観光 インスタ」で画像検索してみると

こんな感じです。

「京都 観光」のほうは観光客が絶対に撮れなさそうなアングルだったり、建物中心だったり、季節を強調していたりするプロカメラマンの作品がメインで検索されます。これは「画像検索」ではなく、通常検索の結果で上位に表示される自治体や観光協会、旅行会社の使っている画像と思われます。

「京都 観光 インスタ」のほうは観光情報系、観光まとめサイト系のホームページがインスタの中から映えそうな画像を集めているページのものがアップしているようです。明らかにスマホで撮れる距離で、色味の強い、日常にはなさそうなシーンを撮っています。

iPhoneができて10数年たった今、「地域の人たちが売りたいモノ」と「観光客で現地で見ているもの」との開きが最大化しているのではないでしょうか?
若い人たちは京都のお寺とか神社に興味があっていくのではなく、「八坂庚申堂」のくくり猿の写真を見た瞬間に「あそこにいきたい!」といって目的地を決めているんだと思います。写真1枚で行動が変わる時代ですから、もっともっと写真で訴求できることは多いはずだと思います。

「京都 観光」・・・京都で有名な社寺を見る
「京都 観光 インスタ」・・・京都で和服を着て祇園周辺を歩いて「八坂庚申堂」のくくり猿の写真を撮る

写真の違いが「観光消費の違い」にもつながっていることがよくわかりますよね。

地域のプロカメラマンの皆さん、ぜひ自治体にこの事実を伝えて、すべての写真を撮りなおして「観光客目線」のグラフィックに変えるよう、営業を始めませんか?
自治体の皆さん、集客がしたいなら、「今の人たちがみたいもの」にすべて刷新しましょう。

「美術館」の外観写真ではなく、今、展示されている「素敵な絵画」を楽しみたい。。。
そんな感じかな。

最近、平成・昭和レトロブームということで、どこか懐かしく感じる風景やグッズに「エモさ」を感じる若年層のみなさんですが、もしかすると既存のグラフィックが古ぼけていすぎるものを「アップデート」してくれているのではないでしょうか?
彼らが提案してくれている「地域の見え方」や「時代の見え方」が観光プロモーションの新しい切り口となることでしょう。

※新規事業100のカテゴリーは、私の思いつく観光系新規事業を日々書き留める場所。
 一緒にやれそうなときはぜひ声をかけてください。
 100までやります♪