通年観光に必要なのは一年中「新しい」情報発信をすること 97/100

新規事業100

通年観光とは観光施策として短期間のイベントや行事による集客に頼らず、既存の観光スポットや入場施設、着地型旅行商品、旅ナカ体験プログラム等に一年を通して観光客を集めることを目標としています。これにより、一時的に大きなプロモーションコストをかけることなく、運営・警備などの人員にも経費を割かず、地域として持続的な観光地経営を目指すというものです。

これまでは観光入り込み客数調査の「数」が外から見た時の「成績表」でしたから、年間数日間のイベントやお祭りを派手に打ち上げて集客することで、「数の確保」をしていましたが、近年は自治体財政がひっ迫し、そのお金すら「ない」という状況の中、「通年観光」という名のもとに観光政策を再構築しようとしている自治体が増えてきているようです。
ただ、「通年観光」で検索してもまだ具体的な取り組みの事例はまだ出てこないですが。

新たな施策が「通年観光」といっておけば、なにかできるような気もするのですが、反対に「なにもしない」とも聞こえます。仕掛けも何もなく、プロモーションコストモーションだけを強化しても今まで観光客が来ていないスポットに人が集まるわけでもなく、持続性もなさそうです。もともとの観光地・観光スポットの魅力に頼るだけではなかなか難しそうです。はたして、通年観光という施策で「選ばれる観光地」になれるのでしょうか?

<考えられる施策1>
・地域の一番人気の観光スポットの集客向上に向けた情報発信量の拡大
・観光スポット内における週末イベントの定例化
⇒一年間のイベントや花ごよみ等のスケジュールを組み立てなおし、観光パンフレットの再作成、ホームページでの情報発信強化、SNSを利用した継続情報発信

<考えられる施策2>
・人気観光スポットを軸とした回遊性の向上
・周辺グルメスポットの紹介
⇒四季の見どころをめぐるまちあるきマップの作成、グルメマップの作成、インスタ投稿強化

既存観光地・観光スポットによる集客を軸にして、旅マエではWebやSNS寄りに発信を強化、旅ナカではわかりやすい紙パンフレットを作成しなおし、地域のことを知らない人たちでも直感的に今すぐにでも「行ってみたくなる」アプローチをするという感じに組み立てを変える必要があります。
つまり、過去に書いた観光スポットの説明を書き直すのではなく、「今日は何があるのか?」「今そこで何が起きているか」「今は満開なのか」を伝えるように体制を整えなおすことになります。

ウィークポイントとしては、有名観光スポットとなると「行ったことがある観光スポット」と思われてしまい、アピール方法が「新鮮味」に欠かけてしまことにより、旅行目的地からはずされてしまう可能性が高いため、それ以上の強い動機(新しい楽しみ方や新しいグルメ等)を提案しなければリピートしてくれないこと。そして、有名ではないエリアを回遊させるためには、第二第三の目的地となる場所の選択肢をできるだけ多く持っておくことが必要となります。

小田原でいえば、小田原城にリピートする理由を作り、お城周辺での観光回遊性を高めるにはどうすればいいかを考えるということですね。駅前にミナカという観光客向けの大きな商業施設ができたことにより、駅からお城までの直線的な動線ができたのですが、城からかまぼこ通り、さらに先へと通年で回遊させるための魅力づくりがカギとなります。

たとえば、ゴールデンウィークには小田原のまちにもたくさんのお店で大行列ができていましたが、大半が「海鮮系のお店」でした。観光客には「小田原グルメ=海鮮」のイメージが定着していることを実感。通年で集客するにはこのあたりを従来に増してアピールすることがポイントとなりそうです。

小田原市民は「そんなこと知ってる」のでしょうが、観光客向けには「もっと知ってもらう」アピールが必要。ただし通年にすると大変でしょうから、「週末限定・観光客限定」といいかと思います。

「通年観光」地域でお店としてやるべきことは、
・期間限定・数量限定のメニュー
・いろいろ食べたい観光客向けの少量多品種セット
・マスコミ受け、インスタ受けするビジュアルの盛り付け
など、週末に観光客を呼び込むための対応ができると新しいビジネスチャンスが生まれるのではないかと思います。

「通年観光」地域で自治体としてやるべきことは、
・「通年」で情報発信をし続けること
・地域の「新しい取り組み」「新商品・サービス」「イベント」を取材する記者も必要
⇒イベントを減らした分、メディアとしての機能にお金を割くべきかと思います。

主たる目的である有名観光スポットは自治体が通年観光のメイン目的地として、継続的にプロモーションを行い、地域の観光事業者や飲食店は週末に特化して「新しい商品・サービス」を打ち出すことで回遊性を高める。その実現のためには「焼き直し」のプロモーションではなく、SNSを活用し、「新しいものを発信し続ける」プッシュ型の即効性の高いプロモーション体制が必要になるでしょう。

いろいろと書き連ねてみましたが、通年観光はイベント集客型の観光施策より何倍も難しそうですね。
次回は既存観光スポットに頼らずに通年観光を実現するために観光目的地となるための選択肢をどうやって増やすのかを考えてみます。

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