人まかせのまちあるきが意外といい仕事するんですよねぇ。

アイディアメモ

現在、新潟県上越市で新しいツアーの開発やワーケーションの実証などを進めています。

上越市も私の住んでる小田原市も人口約19万人。
城下町でかつての宿場町。
新幹線の駅がある。
おさかながおいしい。
海も山も近い。
基本的に「なんでもある」から生活面で困ることは少ない。
ともにイベント観光から通年観光へのシフトを模索。

とっても似ていておもしろいです。

そのふたつの町を行き来してなんとなくわかってきたこと。

旅行会社の中で新規事業を考えていた時には、現状を否定して「かくあるべし」と思える理屈を立てて、べき論でビジネスモデルを提案することが多かったと思います。たとえば、観光ガイドやボランティアガイドのもつ課題を取り上げ、これではいけない、こうじゃないとダメ、みたいなゼロサム的な発想といいましょうか。
それはそれで新規事業の発想法としてはアリだとは思うのですが。
地域で物事を進めるには、あんまりビジネスモデルとか収益性とかを優先して考えないほうがよくて、優先すべきは地域の魅力を無理なく引き出す=商品性の高いものを見つけるとか作り出すとかのほうが大事なんですよね。

そこで最近思いのほかおもしろいのが「まちあるき」

ガイドさんに連れられて「説明を受ける」観光ガイドではなく、ゲスト(外の人)とホスト(地域の人)という関係性でほぼ対等におしゃべりしながら一緒にまちを歩く感じ。一過性の観光よりもお友だち感覚で歩く。キャスト(登場人物)はホストだけでなくホストの知り合いのお店の人だったり、おしゃべり好きのおばさまだったり。

風まかせに歩いてみると観光ガイドブックにもスマホの中にも出てこない体験がたくさん出てくる感じ。次はどこどこに行くなんて決めずに出会った人のところでいろんな話を聞く。それだけでちょっとした冒険気分。知りたかったのは古くてむずかしい町の歴史ではなく、今、町に住んでいる人たちはどんなひとでどんな暮らしをしているか?

人との出会いがその町に対するさらなる好奇心を増す。
そんな出会いの繰り返しがその町のファンを作る。
その人にとっての「知ってる町」「なじみのある町」というのは「知ってる人のいる町」「顔の見える町」ということだと実感しているこの頃です。

まちあるきがおわったあとにゲストさんたちと話をすると決まって「あの人が」「あの店のおじさんが」みたいな話で盛り上がります。その時にはもうホストとゲストが共通の話題を持ち、共通の知り合いができているという状態なんです。たった2~3時間で劇的にそのまちの印象を変えてしまうまちあるき。いい仕事してますよねぇ~。

「関係人口」「かかわりづくり」とかの重要性を聞きますが、まちあるきはその入り口をになう重要な役割。町の入り口でゲストを受け入れ、その町になじませるホスト(水先案内人)の仕事次第で町のとのかかわりは大きく変わります。知識だけではなく、人付き合い、人柄で外の人を受け止めるこころやさしいホストの育成が必要ですね。