訪日インバウンド向け 農家でキャンプ体験できると意外と面白いかも。109/100

2022年10 月より⽇本政府が個人旅⾏の受⼊れや査証免除措置の再開等を実施したことを受け、いよいよ訪日インバウンド外客数が戻り始めました。
12 月の訪⽇外客数は概算で 137万人。
コロナ直前の2019年12月の252万人とくらべるとまだ半分ながら、グッと増えている感じがしてきました。街中でも外国人観光客の数が増えていると実感できるようになりましたよね。
まだ、中国からの訪問者がほぼいない状態でのこの数字ですから、春以降の訪日インバウンド市場は大いに期待できるのではないでしょうか?

報道では円安を受けての「爆買い復活」という記事が多いのですが、訪日リピーターのみなさんは3年間のブランクの中で日本にきたらやりたいことがたくさんあるはず。リピーターになればなるほど都市型観光から地域へと足を延ばす観光客が以前より増えるのではないかと感じています。

この先、訪日インバウンド市場として注目すべきキーワードは「サステナブルツーリズム」

まだ日本が自覚できていないキーワードではありますが、脱プラ、使い捨てをなくす、地産地消、リノベーション、自然要素を取り込むなどの環境配慮型の取り組みが求められます。
また、歩いたり走ったりして体を動しながら環境負荷のない方法で町の歴史文化を感じたり、体験したり、自然の中でスパやサウナで心身をリフレッシュしたりといった旅行者体験などもサステナブルツーリズムに含まれます。

ヨーロッパでは環境負荷を減らすこと、温室効果ガス排出量を抑える必要があることが「当たり前」になっていますが、日本ではまだまだ環境意識が低く、なんだか高尚でハードルの高い取り組みに見えてしまっています。ホンネでは「本当にここまでやるの?」「すごいお金がかかるんじゃない」「国がやることでしょ」みたいなとらえ方がされているのではないかと思います。
でも、この先「サステナブルな取り組み」は早晩必須となることを考えると、直接外国人と対峙する訪日インバウンドの対応としては、実はすでにいち早く対応すべき課題となっているのです。

とはいえ、日本も昔からエコな生活をしていますから、そこまであわてる必要はないような気がしています。しっかりと学習して、サステナブルツーリズムにおいては「何が求められているのか」「どのように取り組みを伝えるべきか」に対処するだけでも結構できることがあるのではないかと思います。

農泊推進の現状と課題について 平成30年12月 農林水産省報告資料より

農水省の「農泊推進の現状と課題について」という資料をみていると、農泊を進める意義についてまとめがありました。よくよく見てみますと、このままで「サステナブルツーリズム」にピッタリではないでしょうか?タイトルを「農山漁村地域におけるサステナブルツーリズムについて」と書いてあっても違和感がないです(笑)

農泊って中学高校の修学旅行などで広がりを見せているのですが、個人の市場においてはあまりなじみがなく、市場も大きくありません。訪日インバウンドの取り組みもこれまで実証事業的に進められてきましたが広がる前にコロナで中断となってしまいました。旅行のカテゴリーでありながら農水省が推進しているということも広がらないひとつの原因かもしれませんが。。。
さらに調査資料を色々見てますと、農泊については「認知度」「情報発信量」に問題があるとまとめたものが多いようです。

マーケティング的には「民泊」という言葉でもまだ定着していないのに、「農泊」とネーミングしてしまうことでより認知度が高まりにくい気がしますね。

ではこれを「サステナブルツーリズム体験」という切り口で打ち出してみてはどうか?

ネーミングだけで一気にこじゃれた(笑)サービスになりますよね。
たったこれだけのネーミング変更により、このサービスの説明については、おそらく「農家で宿泊するサービス内容の説明」ではなく、「いかにわれわれが環境負荷の低い生活を行っているのかを見に来てほしい」という伝え方に変わります。これが大切なのではないでしょうか?
特に環境意識においては日本のずっと先を行く外国人旅行者にとっては「刺さる」言葉ですね。

農家での「サステナブルツーリズム体験」
・田植え、稲刈り、収穫体験などの農業体験ができる
・農業と水資源の大切さを説明できる
・収穫したものを目の前で調理して食べることができる
・農家を起点に農村ウォーキング、サイクリングができる
これだけでも宿泊滞在理由がたくさんあって充実していますね。

さらに欲を言えば、アジアを中心に広がりを見せるキャンプ市場の取り込みができれば。

コロナをきっかけに伸びるアウトドア市場は日本だけでなく、海外でも同様。
自然が溢れる農村地帯でもキャンプはできます。
・農家が目の前にあれば、食べるものも、キャンプ用品の保管も荷物の心配もなく、安全面でも安心。
・受け入れる農家も自宅を開放せずに気軽に宿泊を提供できる。
・自然を満喫できる。

農家の敷地で安心キャンプ。
農泊というと高齢者の農家さんが頑張って対応しているイメージが強いのですが、若いスタッフがキャンプと体験を担当すれば大きな負担なくできる仕組みができそうなんだよなぁ。。。

このアイディア結構いけると思いませんか?
これまでと全く異なるアプローチ方法で新しいマーケットの獲得に取り組み始めるには絶好のタイミングだと思います。