地域の宿泊施設の未来を支える「エリアセントラルキッチン」という事業機会 131/100

〜泊食分離が進む観光地の課題解決に向けて〜

深刻化する旅館・ホテルの人手不足

近年、旅館・ホテル業界では人手不足が慢性化しています。特に地方ではその傾向が顕著で、食事を提供する人材の確保が困難になっている施設が増えています。こうした背景の中、スキマ時間で働ける人材をマッチングするアプリ「タイミー」などのサービスが地方でも活用され始めています。当初は難しいのではないかと思われていたこの手法も、今では飲食業界や宿泊業界を含む多くの分業可能な業種に浸透しつつあります。しかし、それでもなお旅館・ホテル業界では人手不足が解消されていないのが現状です。特に経営者の高齢化が進む中で、「食事の提供自体をやめる」という選択をする施設も増加しています。

泊食分離が進むことで生じる「食事難民」

その結果、かつては当たり前だった“一泊二食付き”の宿泊スタイルが見直され、「素泊まり専門」の旅館が増加。つまり、宿泊と食事を分離する「泊食分離」が進んでいます。このような変化が地域全体に広がると、外に出ても飲食店やコンビニが十分に整っていないエリアでは朝食や夕食の時間帯に「食事難民」となる観光客が発生する懸念があります。せっかく地域を訪れた観光客が、食事をとる場所が見つからずに不便を感じてしまえば、次回の訪問を躊躇する要因にもなりかねません。この流れが進むことで、地域全体のサービスの質が低下し、やがて観光客離れが起こることが危惧されます。

危機回避のカギは「エリアセントラルキッチン」

では、この状況をどう打開すべきか。そこで提案したいのが、「エリアセントラルキッチン」の導入です。

各旅館やホテルがそれぞれの厨房で個別に調理を行うのは、非常に非効率です。特に仕込みの工程(野菜のカットや肉・魚の処理など)は、どの施設でも共通する作業です。これらを一括で担えるセントラルキッチンが地域にあれば、各施設は必要最低限の人員で食事の提供が可能になります。

さらに、仕入れも一括化すればコスト削減も実現できます。現在では総菜やメインディッシュの一部を外部の食品工場に頼ることも一般的ですが、鮮度が求められる料理については地元で処理することが望ましいため、地域密着型のセントラルキッチンが理想的です。

デリバリー対応で「食事難民」をゼロに

食事提供をやめた旅館に対しても、セントラルキッチンから朝食や夕食をデリバリーできる仕組みがあれば、宿泊客は外出することなく部屋でゆっくりと地元の味を楽しむことができます。

加えて、昼食用のお弁当の提供も行えば、セントラルキッチンの稼働率は高まり、地域内での食事のインフラとして大きな役割を果たすことになります。

地域の観光インフラとしての役割

「泊食分離」は避けられない流れかもしれませんが、それによって観光地の価値が下がってしまっては本末転倒です。観光客が「また訪れたい」と思える地域であり続けるためには、地域ぐるみで食の基盤を支える仕組みが必要です。その答えの一つが、エリアセントラルキッチン。これは単なる厨房機能の集約ではなく、地域全体のサービス品質を維持・向上させるための戦略的インフラと言えるでしょう。

「地域の魅力は“食”にあり。」
その食を支える基盤を、地域全体で共有しませんか?