朝市で第六次産業のエコシステムを作れる 68/100

新規事業100

地域に旅すると必ず駅前や駅周辺には商店街があります。
平日昼間にそのローカル商店街を歩いてみても、開いていない店が多くて寂しい状態のところが大半。
だいたい17時になると閉店してゴーストタウン化。
少子高齢化、人口減少という地域の実情からすると仕方ない気はするのですが、実際に目の当たりにするとなんとかならないものかといつも考えさせられます。
そして、いろいろと考えるものの、いくらいろいろな資金を投下しても住んでいる人が増えない限り、簡単には「活性化」しないんだろうなと行き詰ります。

「通過型から滞在型へ」「一泊から連泊へ」「観光から日常体験へ」「イベント観光から通年観光へ」と、コロナ禍により旅のあり方にも小さな変化を感じているのですが、その変化の一部を商店街ですくいとれないものかと考えてみました。

商店街は地域住民が日常の用を足すためにたくさんの商店が集まって形成されている集合体です。地元の店舗経営者の方々は、大型スーパーや人口減、高齢化など様々な要因で徐々に縮小しながらも、地元の人たちのために頑張って生き残ってきたわけです。そんなことからいろいろな商店街活性化の施策や商店街組合の行事については、自分たちの日常営業の延長線上で集客を目指しているのが大半です。まあ、当たり前のことですが。

ということで、今回はローカル商店街に急に観光客が来るようになるという提案ではなく、もしローカル商店街周辺にホテルがあったり、観光地が近かったり、民泊やゲストハウスが増えつつあったりしたときに「観光客向けに」こんなことをしてみてはという提案です。

観光客が喜ぶ朝市を。
私は地元スーパーとか直売所とかを見に行くのが好きですが、おじさんとしては安くておいしい新鮮野菜がどかんと置いてあっても買って帰るわけにもいきません。「この地域だけ、この季節だけ」といわれ、興味あって近づいてみれば見るほどほしくなるのですが、家まで遠いし、重たい。
そこで思うのは「なぜかそれを目の前で食べさせてくれる仕組みがない」ということ。
お店の人たちはきっとすごくおいしい食べ方を知っているはず。テレビでもタレントさんたちが産地に行って、生の野菜にかぶりついて「おいしい~」と叫ぶ。そして、農家さんが食べている地元の調理方法で作ったお料理はさらに「おいしい~」とみんな思っているはずですが、それが出てこない。

この「おいしい~」とか「うま~い」を朝市のようなイベントでやってもらえないかなぁ。
ローカル商店街の定期的なイベントとして観光客向けにやってみると面白いと思うのですが。

すでに朝市をやっているようでしたら、これまでの素材中心の販売方に加え、「料理のバリエーション」を増やしたり、「食べ方に工夫」をしたり、「素材の情報」の伝え方を変えたりして、演出を加えることで実現できそうです。
加工した食品は素材だけ販売するよりも高く売れますし、マイカーで旅行している人ならば「おいしい~」を体験すれば、素材そのもののを買って帰れますし、ローカル商店街としてもメリットが大きいはずです。

そうはいっても、商店街のイベントとして開催する朝市を観光客向けにするのは意外と難しいと思っています。なぜなら、商店街は商店と商店の集まり、だから、自分の商売以外のことはやらない(やれない)ものです。八百屋さんは料理しません。レストランは野菜を売りません。これを実現するためにはお互いの領域をうまく超えて連携することです。おそらくお互いの領分にないものを販売した利益についてはわかりやすくシェアする仕組みができれば解決すると思いますし、それがあれば長続きするはずです。

観光客としてはせっかくの機会ですから、「いい素材」を売るだけでなく、「地元ならではの料理」で「おいしい~」といわせてほしいものですよね。

「いい素材」(一次産業)×「地元ならではの料理方法(二次産業)」×「朝市で販売(三次産業)」
観光客としては、目の前で六次産業が完成するというわかりやすいエコシステムがあるとうれしいです。

※新規事業100のカテゴリーは、私の思いつく観光系新規事業を日々書き留める場所。
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