地域まるごと観光フリーパスで観光DX 70/100

新規事業100

地域の今を展示 町のサステイナブル博物館 6/100 でも触れたのですが、全国市町村にはさまざまな博物館や資料館、美術館が存在していて、公立の施設となるとそれが無料だったり格安だったり、ある意味「絶対に儲けちゃダメ」といわんばかりにお得に楽しめるようにできていますよね。施設の特性からすると地域住民のための施設でもありますから、皆さんが気軽に来て楽しめる料金設定になっているのはうなづけます。

これらの観光向け、教育向けの入場施設については、地域の歴史、文化を資料として残していこうとするものもあれば、地域の生んだ著名な人々の功績を残すための展示などもありますが、地域住民からすると小学校中学校の授業などで地域の歴史を学ぶ機会がありますから、地域住民としては予備知識があって見学ができるので「見に行こう」という気にはなります。

ただ、自分の無知を棚に上げてこんな話をするのも申し訳ないのですが。。。
「地域の有名人」については正直言って全国区でない方が結構いらっしゃいまして、名前を聞いてもわからないケースが多々あります。これは寺社、名跡等を訪れた時の違和感と同じで、地域から見たらとても有名だけど、観光客からすれば知らない名前なので説明を受けても「頭の中に入ってこない」んです。結果、あえてその観光スポットや入場施設に行こうとはしない、ということがよくあります。

でも、地域の人に誘われて、説明を受けながら見学してみると意外と面白かったり、素晴らしいアートだったり、あらためて勉強になったりする経験も多々あるんですよねぇ~。

そこでご提案。

●地域の観光施設は非常に入場料が安い、だけど人が来ない
●それでも、チケット売り場には「人」が張り付いていて人件費がかかっている
●しかも、現金のみ。
●そういう施設は入場者数が少ないので、「いろいろなところの電気を消している」
●施設・設備がどんどん老朽化してくたびれた感じ
●でも、頑張って掃除している
●そして、じっくり見ると意外と面白い

これらは「安すぎる」ことで起こる弊害です。

そのためには
○入場者数を増やして活気を取り戻す
○入場料収入で施設を明るくする
○地域外からの観光客目線で案内、表示を今風にわかりやすくする
○できれば、地元の人に案内してほしい

これらのことを一施設、ひとつの観光スポットで「考えろ!」というには無理があります。
それは地域内すべての施設で起こっていることだからです。

ならば、施設ごとの売上とか、入場者数にこだわらず、エリア内の公的入場施設はワンデーパスとかツーデーパスとかでまとめて売ってはどうかという提案です。
「箱根」とか「伊豆」とか「都内美術館」とかではすでに実施してますし、交通系のパス類はもはや当たり前、「ミュージアムぐるっとパス関西」なんかも有名です。

考え方もシステムも同じでいいので、自治体運営のエリア内の施設や観光スポットは1日1000円くらいで、すべてフリー入場できるパスとしてまとめてしまうことにより、
○普段あまり入場者が来ないところにも人がやってくる
○地域内をお得に遊べるので域内消費時間が伸びる
○アプリとかで事前決済すれば、入場管理などの人件費は削減できる
⇒結果、エリア内の総入場料収入は伸びる(だろう)という理屈です。おまけに人件費や紙のチラシやポスター代などを含めたコスト削減ができると思います。

これまでのイベント観光用の短期間のパスという発想ではなく、エリアの観光プラットフォームとして一年中いつでも使える観光客向けの「地域まるごと観光フリーパス」を導入することにより、、入場者数が増え、観光収入が伸び、施設は活気づき、電気も煌々とつけられ(笑)、みんな明るくなるのではないでしょうか?

システム要件としては
○専用アプリのみで購入できる共通入場パス(ワンデー、ツーデー、年間パス)
○電子決済で事前購入
○施設側はアプリ提示(QRコード)により入場認証するだけ

これくらいの機能があれば、
○リアルタイムに売り上げが把握でき
○リアルタイムに施設ごとの入場者数が把握でき、
○どの施設にどれくらいの時間滞在しているか
○年齢層、性別によって入場施設は異なるのか
○ひとりあたりいくつの施設を訪れるか
○何時くらいにどこに観光客が集中しているか
などなど、ほしくてたまらないデータがアプリ一つで手に入るということになります。

正直、この程度であれば、すごい開発なしでできるシステムだと思います。
エリアの観光プラットフォームシステムとして一年中いつでも使える観光客向けの「地域まるごと観光フリーパス」
観光DXってこんなことからでも始められるものですよね。

「いつも現金を受け取っている地域住民にはどう対応するんだ」ということをついつい考えてしまうまじめな方もいると思いますが、もともと地域住民からは高いお金をとっているわけじゃないので、無料でもいいのではないでしょうか?それでも現在かかっている入場料収受のための人件費や事務費、セキュリティコストのほうが高いような気がします。

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