観光分野でもAIが旅の相談に乗ってくれる時代になりました。
しかし、AIが本当に「その人にぴったりの旅」を提案できるかどうかは、与えられる“エサ”、つまり 観光情報の質 に大きく左右されます。東京や大阪、京都などの大都市であり、大観光地であるところには、地域や観光施設、飲食施設などのオフィシャルな情報が整い、観光客や地域住民によって書き溜められたSNSやブログ等の評価記事、GoogleMapsのクチコミなど、大量の情報が蓄積されることにより、情報の質も一定程度保たれていますが、残念ながら、地方に行くと情報量が少なすぎて、知りたい情報が得られない、いつの情報かわからず信頼できる情報とは思えないという問題を実感した方も多いはず。
これからAIがみなさんの秘書として、アドバイザーとして一緒に旅を計画し、旅ナカをサポートしてくれる時代とになります。そんな時代に最も大切なのが信頼できる情報、鮮度の高い情報、説得力の高い情報なのですが、これまで観光系のホームページで主に発信してきたのは住所や施設概要などの基本情報がメインであり、個人の嗜好性に合わせた情報、体力やハンディキャップに即した情報などは、体系的に整備されてきたとは言えない状況にあります。
AIが知りたいのは「なぜここがおすすめなのか」「どうしてこの観光スポットを選択したのか」について、自信をもってこたえられる根拠です。これからはそれらの根拠となる情報をいかに的確に発信していくことができるのか?が、AIに選ばれる観光地の条件となっていくのです。
逆にAIに無視されると、選ばれない観光地として取り残されてしまうということになってしまいます。
ということで、そのデータの作り方、伝え方について、「AI絶滅危惧種」的に言われてしまっているアナウンサーの活用策を思いつきましたので、書きとめておくことにします。
1. AIが欲しがるのは「整理された情報」
AIは、ただの文章よりも「構造化された情報」を好みます。
たとえばレストランなら、以下のような細かい情報があると理解しやすくなります。
- 料理ジャンル
- 価格帯
- 座席数
- バリアフリー対応
- ペット可否
- 子ども用チェアの有無
- トイレ情報
さらに、営業時間の例外や予約の必要性なども、共通の形式で整理されていると、AIは正確に読み取れます。お店でお客様からよく聞かれている質問や回答(FAQ)なども重要な情報です。
また、位置情報も「点」ではなく「つながり」が重要です。
周辺スポットとの距離や移動時間がわかると、AIは旅のルートを自然に組み立てられるようになります。
2. AIがもっとも苦手なのは「古い情報」
ユーザーが困るのは、AIが古い情報をもとに提案してしまうケースです。
- 今日だけ臨時休業していないか
- 今どれくらい混んでいるか
- 季節限定のイベントは開催中か
- 今、桜が満開なのはどこなのか?
こうした“鮮度の高い情報”があるだけで、AIの提案は一気に信頼できるものになります。
さらに、最近訪れた人のレビューや写真が加わると、AIは「今のリアル」を学習できるようになります。
3. AIがもっとも価値を感じるのは「ストーリー」
AIが「なぜそこをすすめるのか」を説明するには、単語ではなく“意味”が必要です。
例)
- NG:「静か、寺、京都」
- OK:「朝の勤行を体験でき、日常の喧騒を忘れて自分を見つめ直したい人に最適な空間」
さらに、「誰に向いているのか」という視点も重要です。
- 3歳児連れの家族には最適
- 静寂を求めるカップルには不向き
こうした“文脈”があると、AIはユーザーとのマッチング精度を高められます。
4. 実は動画や音声が、AIにとって最高の教材
パンフレットのような整った文章よりも、
動画や音声のほうが「現地の空気感」や「非言語の魅力」を多く含んでいるため、AIにとっては宝の山です。
- 風の音
- 人のざわめき
- ナレーションの熱量
- その場の空気の“揺らぎ”
こうした情報は、文字では表現しきれません。
5. では、誰がその音声を作るべきか?
→ 答え:プロのアナウンサー
アナウンサーは「言葉のプロ」であり、AIが理解しやすい“構造化された音声”を自然に作り出します。
① 感情の構造化がうまい
素人だと「すごい」「きれい」など語彙が単調になりがちですが、プロは…
- 強調:重要なキーワードを声の高さや間で際立たせる
- 緩急:歴史はゆっくり、体験は軽快に
- パラ言語:微笑み、息づかい、声の震えなどの“ライブ感”
これらがAIにとって「どこが推しポイントか」を理解する手がかりになります。
② 文脈を補完する力がある
プロは「誰に向けて話すか」を意識して語ります。
- 素人:自分の感想を述べる
- プロ:聞き手の体験を先回りして表現する、口下手なひとからもうまく情報を引き出す
これにより、AIは「どんなユーザーに向いているスポットか」を判断しやすくなります。
③ ノイズが少なく、解析しやすい
アナウンサーの音声は明瞭で、固有名詞の誤認識も少なく、
文字起こししてもそのまま“AI用データ”として使えるほど整理されています。
方言がまじらないのもいいですね。
まとめ:アナウンサーは観光DXの新しい主役になる
- これまでの観光データは「正確な情報を集める」ことが中心だった
- これからのAI時代は「文脈」「空気感」「日常の会話」までが価値になる
- プロのアナウンサーが語る音声は、AIにとって極めて質の高い学習素材
- アナウンサーは原稿を読むだけでなく、地域の魅力を引き出す“観光の語り部”になる
AIが旅の提案をする未来では、
アナウンサーのスキルが地域の魅力を最大限に引き出す武器になるのです。
デジタルの中のアナログ。とても大切なんです。

