風土とは?土の人、風の人にかき混ぜる人が加わって地域は活性化する?

アイディアメモ

ここ数年、大学生の就職人気ランキング上位から旅行会社が姿を消しつつありますが、それでもそれなりに応募者はいるようで、応募してくる学生の志望動機は「地域活性化に携わりたい」というのが圧倒的に多いそうです。我々のような年寄りとは違い、かれらは高校・大学で地球環境について学び、地球温暖化に問題意識を持ち、自然保護活動に熱心で、持続可能な世界の実現をすごく意識している世代。自分たちの未来に向けて何ができるかを若いころから考え、学んでいるのです。すばらしい。

では「地域活性化」を実現するためにどんな職業に就きたいか?という質問に対しては観光関連となりますと、
・地方公務員・自治体職員
・地域の交通事業者・観光事業者
・地域の交通事業
・観光系ラボ・観光コンサルタント
・旅行会社・鉄道会社・航空会社
等の選択肢を考えているようです。

自分だったらどう考えたかなぁと思いにふけっていたら、ふと以前聞いたたとえ話を思い出しました。

日本の地域の特徴を風土という言葉で表します。
「風土」とは文字通り、「風」と「土」でできています。
「風」はそこにじっとしているものではない外からくるもの。
「土」は昔からその土地にあるもの。
その地域のことを表すだけなら「土」だけでいいのではないか?
そんな疑問を抱きますよね。
でも、そうではありませんよね。
その土地の特徴を風土とあらわすのは「風」と「土」が交わって出来上がってきたものだからなのではないでしょうか?
はるかな昔から土を耕して収穫を得てきた日本各地の地域ではありますが、「土」の恵みだけでなく、「風」が運んできた雨や雪、草花の花粉や種、それらが土に恵みを与え、新しい命をはぐくみ、時代を超えて変化をしながら自然と共に生きてきたわけです。
そして、その結果残っている地域の特徴のことをわれわれは「風土」と呼んでいるのではないでしょうか?

このことを「地域活性化」の実現のために必要なことにたとえてみますと、
地域活性化は「土」=「地域の人」だけでなしうるものではなく、「風」=「外の人」の力も必要なのではということかなと考えられます。

ただ、何十年にわたって地方再生、地域活性化などの言葉で「土の人」と「風の人」が交わりながら取り組みを行ってきましたが、どうもうまくいっていない。だから相変わらず、同じ課題が叫ばれています。

私は旅行会社在籍中には「風の人」として地域のみなさんとお仕事をさせていただいていました。旅ナカラボとしては最近「土の人」に加わり仕事をさせていただくケースが増えています。そこで気がついたのは「土の人」と「風の人」両方の目線から見ることの大切さ。
「風の人」は理屈とか理論の種、そして新しい情報を風に乗せて運んでくるけど、口を動かしても手足は動かさない。時に資本を持ち込んでくれることもありますが。そして、「土の人」は主に地面と天気を見ており、見たことない作ったことのない種を恐れ、極端な天気や強い風を嫌がっている。結構その繰り返しが続き、芽が出るのをなかなか見られません。

「土を知る風の人」「風を知る土の人」がいないからでしょうか?
もしくは「土の人」と「風の人」の間に立ってきちんと翻訳したり、意訳したりして、新しいものを土に定着させられるような「かき混ぜる人」「耕す人」とかの存在が見えないからでしょうか?

再掲しますが、さきほど挙げた地域活性化を実現するための職業
・地方公務員・自治体職員
・地域の交通事業者・観光事業者
・地域の交通事業
・観光系ラボ・観光コンサルタント
・旅行会社・鉄道会社・航空会社
これだけでなく、もっとたくさんの仕事があるのでしょうが、職業で決めるのではなく、「風の人」として活躍したいのか、「土の人」として結果を残したいのか、もしくは「風の人」と「土の人」をつないで新しい風土を作り上げたいのか?
自分が思い描く「地域活性化」の姿とは。。。
そんな切り口で進路を考えるのもいいのではないでしょうか?

老婆心ならぬ老爺心からこの夏考えたことを書かせていただきました。