デザインが旅を変える・地域の観光を変える大事な要素になってきました!

アイディアメモ

35年ほど旅行業界で仕事をしていて、私の中で印象的に残っている国内の観光シーンでデザインが変わったキッカケかなと思うものをあげてみます。

1990年くらいからの黒壁(滋賀県長浜市)のまちづくり
    バブル前後のすごいデザインの建物、地方のハコモノデザイン
2000年前後の旅館のヤンキーネームとリニューアルブーム
2000年 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ
    このあたりから10室前後の小規模おしゃれ旅館ブーム
——携帯電話の普及・写メブーム——
2010年前後のゆるキャラブーム、絶景ブーム
2010年 瀬戸内国際芸術祭
    豪華観光列車ブームがこのあたりから始まる
——iPhone誕生、スマホの普及×SNSの広がり、動画もひろがる——
    プロジェクションマッピング・・・デザイン、アートのデジタル化
    LED照明によるイルミネーションイベントの隆盛
2015年前後の街並み、街道の整備、
    町家再生、古民家ゲストハウス&カフェブーム
    インフィニティプール、露天風呂が増加
    チームラボのデジタルアートブーム
2018年くらい SNS映えスポットブーム(ハイジのブランコとか、天使の羽根とか)

カネにまかせて周りの景観とかは一切考えずに作った独自の建築デザイン
既存のもののよさを保ちつつ、ボロボロに見えたものにデザインを施すタイプ
使えなくなりそうだった建物をリニューアルして新しい機能を与えたもの
芸術祭のように景観とアートを融合させたインスタレーション
全く新しく見栄えのよいデザインを取り込んだもの
ブランディングをしようとしてまじめな公務員が生んだ怪物(笑)
そして、リアルとデジタルの融合による新しいアート、デザインの表現

さまざまな理由でさまざまなデザインが生まれて今に至ってますね。
これをみると2000年前後のバブル以前にはあまり観光シーンにおいてデザインを感じるものがなかったんだなぁと今さらながら思います。バブルがはじけるまでは、昭和にできた大量輸送、大量消費時代の観光でコンクリートの建物と排気ガスたっぷりバス輸送だったイメージ。そのあとのバブル崩壊後はあまりお金が使えないこともあり、スクラップ&ビルドができない代わりに「古きを残し、新しい価値を与える」方向に行ったような流れでしょうか?
全般的に言えば、ちゃんと整備された街並みや景観が増えましたし、まだまだ代替わりはしてないものの、こじゃれたお店も増えてきました。

そして、デザインの変化とともに消費者の行動も変わってきました。
ここ10年は観光行動がスマホ、SNSによって劇的に変わり、「有名な観光地だから行く」のではなく、「ここがバズっているから行く」「ここで映え写真が撮れるから行く」となりました。
あきらかに変わったのは被写体ですね。
「景色」⇒「自分」、「保存する」⇒「みんなで共有する」
1枚1枚に他人の評価がついてくると思って、みんな写真撮ってます。
「ハズしたくないから」あらかじめデザインができていくところに行くんですよね~。
しかもなにがしかのメッセージがついて共有される時代ですから、単にきれいとか、いい景色とかではないストーリーが大事。
さらに、決定的に変わったのは、アートもデザインも「みるもの」から「参加するもの」へとかわったところ。みなさん画像・映像がスマホで簡単に編集ができるようになったことでとても表現がうまくなりました。最近では、ハイジのブランコとか、天使の羽根とかのように自分が参加することでデザインの一部になれるところも人気が高いようです。
また、チームラボの参加型コンテンツは「参加型」の象徴的な存在になっています。
異次元空間の中にはいりこむ没入感は圧巻です。自分も被写体、仲間も被写体、撮るものすべてに自分たちが参加している。そして、みんなで共有したくなるデザインが受ける。そんな流れが出来上がりました。

これからのデザインは見てくれる人たちがそれを見てどんなアクションを起こすのか、どんな共有を楽しむのか、そんなコミュニケーションを意識したものが人気となることでしょう。

参加できるアート、参加できるデザインに人が集まり、人が人を呼ぶ。

地域が集客を目指すとき、これからは「ちゃんとしたデザイン」に人が集まることを知っておくべき。
まねるだけのしょぼいのはダメです。
ちゃんとしたデザイナーにちゃんとお金を払ってデザインした方がいいと思います。
それによって地域にうずもれていた魅力が再び光り出すことがあるのではないかと思います。