エシカルな旅ナカ体験プログラムが必須になる時代 94/100

新規事業100

SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))の認知度が急速に上がっています。電通の調査によるとSDGsという言葉の認知率は2022年1月の段階で86.0%。前年1月の54.2%から30ポイント以上増加。2018年2月の14.8%から6倍近い伸びとなったということです。

しかしながら、株式会社アスマークの実施した「日本・アメリカ・中国のSDGsに関する意識比較調査」としてアンケート調査調査によると
(以下、プレスリリース記事より引用)
日本
SDGsの名称は広く認知されているが、具体的な行動には関心が低く、企業イメージ・購買行動への影響は小さい
アメリカ
SDGsの名称の認知者は少ないが、具体的な行動への関心は高く、エシカル消費をはじめ協力に前向き
中国
SDGsの名称が広く認知されているだけでなく、積極的に関わる姿勢が浸透しており、SDGsに関連することによる企業・商品イメージへの影響は大きい

株式会社アスマーク(東京都渋谷区東、代表取締役:町田正一)は、日本・アメリカ・中国の15~39歳男女に「日本・アメリカ・中国のSDGsに関する意識比較調査」としてアンケート調査を実施し、その結果を2月25日に公開しました。
※調査日は2022年1月21日(金)~1月26日(水)です。

(引用終わり)

まだ日本人にはなじみのない「エシカル消費」とは、人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動のことで「私たち一人一人が、社会的な課題に気付き、日々のお買物を通して、その課題の解決のために、自分は何ができるのかを考えてみること、これが、エシカル消費の第一歩」であると消費者庁のホームページに書かれています。

ということで、テレビとかネットで「SDGs」は知るようになったけど、実際の行動にはまだ反映されていないのが現在の日本であることがわかりました。日本におけるSDGs意識を行動に転化していくにはまだ時間がかかりそうです。
しかし!
日本人の自覚を待つまでもなく、これから海外の人たちが再び日本にやってきます。
そして、その時までに準備すべきことがあるのです。

海外からの旅行者は全員「飛行機」を使って日本に来ますから、環境問題を意識している旅行客にとっては「旅行はしたいが環境破壊は避けたい」という思いが強くあります。飛行機移動は確かに二酸化炭素など大気汚染をする有害物質の排出量が多いのが現状ですが、遠い距離を移動し海外に行くためには乗らざるを得ません。環境ダメージを少しでも避けたいということであっても、環境問題や気候変動への対策を積極的に進めるカーボンオフセット対応を推進している航空会社を選んで乗るくらいしかできません。

正直申し上げまして、私はオフセット(代替物との相殺)という考えは少々無理があるなと思っています。飛行機の有害物質の排出量を直接減らさない限り、実際には環境への影響は減りませんから。とはいえ、持続可能な社会を実現し、いつまでも快適に気がねなく世界中を旅できる世の中であってほしいですから、我々としてはできる限り環境破壊を抑える行動をとることにより、トータルでダメージを減らすしかないというわけです。

つまり、日本に来るまでに環境ダメージを与えてしまった分、少しでも環境にいい行動をとった方が安心して楽しい気持ちで旅ができるという「気持ち」を「行動に変えたい」と思うはずです。

なので、そのような気持ちになっている外国人を受け入れる地域としては、
<これから旅ナカでやらなければならないこと>
 ・地域におけるSDGsにかかわる取り組みを観光商品やサービスの中で伝える
 ・観光商品やサービスの中にSDGsに貢献可能な観光行動を取り入れる
 ・上記の取り組みが商品・サービスのメイン目的ではなく、当たり前に含まれている状態にすること

これらの取り組みの結果、地域で参加するすべての体験プログラム等が「エシカル消費」になっているというのが当たり前にならなければいけないということです。

直接的に二酸化炭素排出量分を吸収できる植林をしたりしてオフセット(相殺)するとか、山歩きの時にゴミ袋をもって歩くとか、海辺のゴミ拾いをするとか、フェアトレード(公平、公正な貿易)商品を提供するとか、輸送コストのかかっていない地元の食材を提供するとか、SDGsにかかわるさまざまな取り組みを商品・サービスの中で「可視化」して伝えることが大事です。

日本は昔からエコな国ですから、気がついていないところでもエコな取り組みをしていることもあるでしょう。それらも含めて新しい「気づき」として表に出していき、正しい取り組みをしながら快適に旅をしている、つまりエシカル(倫理的に正しい)な気持ちで旅ができるように取り計らうことがこれからの「おもてなし」になるのではないかと思います。

アフターコロナの観光は、SDGs、とりわけ環境問題への対応が必須(=当たり前)に配慮されたエシカルな商品、エシカルな旅ナカ体験が売れる時代になることでしょう。

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