副業が地域の観光を救う 95/100

副業していますか?

2019年に厚労省が発表した「働き方改革」とは、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための改革ということでしたが、日々バタバタと時間に追われて仕事をしている中で、当時はその必要性に対してあまりピンと来ていませんでした。しかしながら、コロナ禍を機に在宅勤務が当たり前になり、外出もままならない中、残業はなくなり、給料は減少。みなさん「あれっ、こんなに時間あったっけ」と思うほど1日の過ごし方が激変してしまいましたよね。

その時、旅行会社にいた私は、目の前で海外旅行と訪日インバウンド市場が「蒸発」したことが最大のショックでしたが、同時に会社員として「通勤時間」「会議室への移動」「アポ調整」「出張」等の時間も同時に蒸発したのを目のあたりにしました。
コロナ禍のおかげで?!世の中的には「働き方改革」が一気に進んだというわけです。

ということで、そのタイミングで一気に副業に走った人は「体力のある人」
コロナ禍でちょうど爆発的に拡大した「フードデリバリースタッフ」は副業人口に支えられて急成長しました。

とはいえ、すぐに副業に走れる人はそれほど多くはないような気がしています。
「会社が副業を認めていないから」というのが最大の理由ですが、
・本業以外で働いたことがない
・副業しなければならないほど切迫していない
・会社の仲間無断で悪いことをしているように感じる
・時間をとられると本業に影響する
・やったことがないから不安
等、心情的なところで止まっている人も多いと思います。
そして副業制度ができたとしても、
・何ができるかわからない
・ノウハウ・スキルがない
というネガティブな理由から一歩踏み出していない人が多いのではないでしょうか?

会社員をしているといろいろと気遣いが多いとは思いますが、副業を自分の成長のためにポジティブに受け止めるという発想で今一度取り組んでみてはどうでしょうか。

・趣味と実益を兼ねる満足感
・仕事から離れて得られる充実感
・自分の新たな可能性を感じる達成感

それに加えて、自分にはどんなポータブルスキル(=持ち運び可能な社会的能力)があるのかを確認できること。つまり、「会社を離れても自分が認められるノウハウ・スキルがあること」を確認できることがわかるというのが、稼げる金額の多寡を問わず、副業する最大のメリットではないかと思います。

ではどんな副業がポータブルスキルの確認にいいのか?

「時間」(平日・休日)×「スキル」(仕事・趣味)の組み合わせで考えてみます。
①「時間」(平日)×「スキル」(仕事)・・・本業の仕事中になりますから、この領域の副業はNG
  ※この領域は副業OKの会社でも競業関係の仕事となる場合があるためやめた方がいいですね。
②「時間」(休日)×「スキル」(趣味)・・・休日に趣味を生かして、それで稼ぐ領域
  ※写真が趣味なら七五三や成人式等の撮影、ハンドメイド系ならばイベント販売等
   趣味の領域での講師や先生などもあります。
③「時間」(平日)×「スキル」(趣味)・・・平日の夜に短い趣味の時間を活かして稼ぐ領域
  ※インターネット、SNS系のスキルを活かして、インスタやYouTubeのコンテンツ作成、投稿
④「時間」(休日)×「スキル」(仕事)・・・休日に仕事で身につけたスキルを活かして稼ぐ領域
  ※クラウドソーシング系のサイト(ココナラとかランサーズとか)で企画書作成、コピーライティング、ホームーページ作成、デザイン作成等

③④のインターネットやシェアリングエコノミー系のサービスを利用した副業は「趣味のスキル」でも「仕事のスキル」でも短時間に、自分のできる範囲で仕事ができる領域です。

表題の「副業が地域の観光を救う」なのですが、この③④の領域が対象と考えます。
③「時間」(平日)×「スキル」(趣味)でいえば、観光施設、飲食店、旅館・ホテル等、観光系すべての事業者が副業できる人たちに依頼すべきことです。
 ●SNSの投稿代行
  Twitter、インスタ、TikTokなどへの情報発信は大半の事業者さんが手が回っていないところ。
  ホームページでSNSアカウントへのリンクは貼っていても、ほとんど更新されていない、または、営業日のことやイベントの案内だけで、集客につながる魅力的な情報提供や画像が出てこない。
  という状態なので、事業者さんと打ち合わせをしてちょっとした時間で情報更新のお手伝いをすればたちまち活気ある発信ができるようになるはず。可能であれば、週末に現地に出向いて取材して、写真や動画を撮りためておき、徐々にリリースしていればなおよし。

④「時間」(休日)×「スキル」(仕事)は、最近増えつつあるようですが、都市圏で働く人たちが本業を生かして地域の企業では雇いきれないマーケティングやデザインのノウハウを持った人たちにサポートしてもらう副業スタイル。これももちろん、観光事業者にも適用できるはず。ホームページの作成や集客キャンペーンの企画、案内チラシの作成・デザイン等、短時間で対応可能な業務はゴロゴロとあるはず。でも、地域の観光事業者さんも地元の業者さん任せにしており、なかなか新しい手が打てないという悩みの部分です。

③④の観点から地域の観光事業者が副業希望者に発注をすれば、都会に住む会社員が代行して情報を作り、発信することになり、その結果、これまでできなかった「お客様目線」の情報発信やプロモーション施策が生まれるのではないでしょうか?

SNSでの情報発信は「スキル」というほどでもないように思いますが、毎日のように写真や動画を撮って友だちや仲間とシェアしているうちに身についたテクニックはそれなりの時間をかけて得られたポータブルスキルだと思いますよ。現に、地域の観光事業者のホームページやSNSを見ていても、毎日情報発信しているところはほとんどありません。
つまり、できる人とできない人、知っている人と知らない人の間には大きな差があるのです。
その大きな差こそが商売のタネになるのです。

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