旅館の名前にひらがな6レターコードを 96/100

新規事業100

光宙と書いて「ぴかちゅう」とか「まりる」とか「はぁと」とか、果てには「悪魔」とか、なにかと話題になるキラキラネームですが、これは1990年代半ば以降から増加し、ネット用語としてDQNネームと呼ばれたりして毎年5月くらいに「こんな名前がぁ~」みたいな報道で盛り上がりますよね。ご本人がよければ何も問題ないとは思うのですが、両親がつけてくれた名前ではあるものの、大人になって、おじいちゃんおばあちゃんになって、人前で呼ばれたりすると「ちょっとなぁ~」なんて思う日が来るのではないかと心配してしまいます。。。

その話と一緒にするわけではないのですが、私が30年以上ずっと思っていることがひとつ。

旅館の名前が覚えられない件。

私は1985年に入社。1986年12月から1991年2月といわれるバブル景気の時期は国内旅行、海外旅行の法人営業、店頭営業に従事していました。まさにその時期、観光産業、旅行業界も絶好調でバブル全盛期には不動産投資が進み、あり余ったお金で全国の旅館もどんどんゴージャスな建物に生まれ変わったり、新館建築ラッシュが起こったり、活況を呈していました。

そのころに起こったのが、「旅館の名前をカッコよくつけるブーム」です。
簡単に言えば、「旅館キラキラネーム時代」の到来です。

特徴としては
・鳳、華、翔、雅、瑠、夢、霞、翠、碧とか、画数が多くて書けない、読めない
・○○の宿 ○○旅館 別邸○○とか○○新館とかアネックスとか、長すぎて覚えられない

バブル以前であれば、世の中が「紙」でできていましたので、パンフレットとかガイドブックで見て指をさすことで「ここに行こう」とやっていたのですが、ちょうどバブルが崩壊して1990年代の後半から2000年代になるとインターネットが旅館予約に使われるようになり時代が大きく変わります。
そして、その時代からず~っと感じていたことなのですが、「読めない」「書けない」「覚えられない」旅館の名前では、「検索することもできない」ということ。

正直申し上げまして、いまだにこの「問題」は解決されていません。
そのあとにはホテルの難しい「英語名称」・・・日本人になじみのない、意味が分からない、ロゴがかっこよすぎて全く読めない問題が追い打ちをかけている状態です(笑)

おじいさんにはどんどんつらい時代になっているようです。。。

ただ、これって大丈夫なんでしょうか?

みんなが読めないと言っているのに当の旅館の皆さんは「あまり困っていない様子」。
なぜでしょうか?

私の推測では「OTA」の存在がその問題を顕在化させなかったのではないかと思っています。

OTAは「旅館の名前」では検索しないから。
宿泊希望日・地域名・人数で検索!
上から出てきた順番に「宿泊代金」だけをみて選択。
予約する段階で「この旅館の名前が読めな~い」みたいな感じですよね。
だから、今まで、「旅館キラキラネーム問題」はあまり問題視されてこなかったのかも。

とはいえ、旅館販売の場合、通常は旅行会社からの予約に加え、オンラインでは国内・海外OTA、などからの予約が大半で自社ホームページでの販売比率が相対的に低いところが多いと思います。アフターコロナでは団体旅行も減りますから、これまで以上にオンライン予約にシフト行くことが想定されます。そうなると旅館に対するOTAの発言権が増し、競争の激しいOTAのリクエストに応じて商品数を増やし、価格を下げ、キャンペーンに参加するという流れに疲弊していくのが心配です。

そんなこともあってか、旅館業界では、今になってOTAに支払う手数料を少なくして、直売比率を高めようという機運が上がっており、旅館コンサルタントやサイトコントローラー提供会社などが直売比率向上のためのノウハウ提供をしています。ちょうど、スマホ予約の技術やオンライン決済の仕組みもどんどんOTA並みに近づいた仕組みを使えるようになりつつありますから、自社のアイデンティティーを保つためにも直売への取り組みも進めたほうがいいと思います。

そこで、冒頭の問題に戻ります。
旅館名が「読めない」「書けない」「覚えられない」「検索することもできない」問題。

<以下、Yahooマーケティングソリューションの記事から引用>
 ヤフーが行った研究では、ユーザーが商品・サービスを検討する際の検索キーワードが社名などの指名キーワードである場合と、そうでない場合のCVRを比較。すると、前者のCVRは後者の約12倍だったという(出典:ヤフー『1番目の指名検索「指名キーワード起点」が新たなブランディング指標に。』)
<以上>

つまり、ブランド名=施設名を知って検索した人と「○○地域 旅館」で検索した結果で出くる場合とでは、12倍も予約確率が違うということ。
旅館の直売を推進するためには「読めない施設名」は検索の大きな壁となりかねないということになります。

しかしながら、旅館名は施設の顔であり、ブランドですから、そう簡単に変えるわけにはいきません。

そこで、「旅館の名前にひらがな6レターコードを」という提案。

日本の上場企業に対して、日本経済新聞社の使っている日経略称は、株価一覧表、新聞のマーケット面などで使われてます。たとえば、「ファストリ(ファーストリテイリング)が3%高」「ハウス(大和ハウス工業)純利益20%増」みたいな。

同様に観光業界共通の略称ができないものかと。

最近は世界中の空港の名前がどんどん変わっています。
ホノルル国際空港の正式名称が「ダニエル・K・イノウエ国際空港(Daniel K. Inouye International Airport, HNL)」に改名されたり、国内では「たんちょう釧路空港」、「出雲縁結び空港」や「徳島阿波おどり空港」とキラキラ空港愛称が花盛り。
それでもIATAの空港コード、俗にいう3レターコードは変わりません。

旅館・ホテルも4~6文字くらいのひらがな・カタカナ名称をコードネームとして業界全体で使えるようにしませんか?
・読める・書ける
・おぼえやすい
・変換しなくてもいい
・スマホでも楽に入力

この旅館・ホテルコードを管理する団体を作り、
・コードネームの管理
・OTAや旅行会社へのデータ提供(施設名称、住所・地図、施設概要などの基本情報)
この団体がデータソースを把握して、業界のシステムに配信するビジネスモデルです。

この簡単な仕組みによって旅館の直売が進めば十分成り立つビジネスモデルだと思います。
いろいろな旅行会社やOTAの組合にかかる経費をこちらに分けたほうがいいのかも。

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