体験プログラムこそ移動販売車が最適?! 120/100

新規事業100

2023年はついに訪日外国人の数が2500万人を突破。コロナ前の2019年の3200万人に近づこうとしています。2023年10月以降は単月ベースでいえば2019年を上回るペースで訪日客が増えているので、大きな国際的な事件や大災害がこれ以上発生しなければ2019年越えも現実的なものとなりそうですね。

コロナ禍の中で観光庁主導で仕掛けてきた観光・宿泊商品の「高付加価値化」、そして円安という追い風、逆にインフレによる仕入価格上昇や人手不足による人件費高騰などの要因もあり、宿泊や観光系の商品の単価は順調に値上げされているものの、それでもインバウンド外国人からすれば「安いニッポン」を満喫してもらっているというのが現状なのでしょう。さらに訪日客が増えることで地域にもその恩恵が広がる1年にしたいものです。

インバウンド客の消費額は大きいですから、なんとかその恩恵にあずかりたいのですが、地域では。。。

インバウンド向けの体験コンテンツを開発して、地域に集客してもっとしっかり稼ぎましょう、という施策がコロナ禍以前から観光庁主導で推進されているのですが、なかなかうまくいっていない。地域へのインバウンド客流入がまだ少ないということもありますが事業採算がとれているところは少ないと思います。。
着地型の体験プログラムをもっと売るためにできることは何でしょうか?

体験プログラムはなぜ売れないか?

ツアー販売の側面から見ると
・予約タイミングが催行日の1~2日前、当日が多く、超間際申し込みなのに対して、3日~7日前に手じまいしてしまう体験プログラム事業者が多い。
・来日後に訪日外国人に直接アプローチできる手段が少ない、わからない。
・体験プログラムのオンライン販売(海外OTA)は手数料が高すぎて掲載できない。

オペレーション側から見ると
・来るかこないかわからないのに担当者・ガイドを貼り付けておくわけにはいかない。
・もともと日本人向けに設定しているので土日以外設定していない。
・集客が難しく、催行率が低いため、安定的な収益がのぞめるとは思えない。
・本業に支障がない程度で運営している。

利用客から見ると
・時間消費型の商品なので、設定日、時間が合わないと参加できない。
・旅行の主目的ではないため、時間があまったときに「なにかないかなぁ」と現地で探す商品。
・現地に行くまで体験プログラムの存在を知らない。

などなど、できないための言い訳はたくさん挙げられます。

これまで体験プログラムは着地型観光商品としておもに日本人向けに地域の魅力を訴求する商品として開発が進められてきましたが、ここへきて訪日外国人が増加する中であらためて地域の魅力を伝える体験プログラムの必要性が高まりつつあります。宿泊・食事での消費額に加えて、滞在時間を延ばして、さらに消費額を拡大できる商品としての期待かと思います。

ただ、上記のように「できない理由」が多いのですが、それをなんとか克服できないかという提案をちょっと考えてみました。

「体験プログラムの移動販売」

訪日外国人は土日にかかわらず日本全国を観光しています。
地域の着地型の体験プログラムについては、日本についてから検索しながら旅行するなかで初めて認知されます。
そして、現地についてからおもしろそうな体験があれば参加して楽しみます。

このような行動をとる外国人に対しては「体験プログラムの存在を認知」してもらうことが何よりも大事。
ここまでは、当然、Web、SNSを利用して情報を届けられたとします。

しかし、その次に現在外国人がいるところにその体験プログラムがなければ売れません。せっかくの参加したいプログラムがあっても「場所」と「時間」が一致しなければ参加できないわけです。
これによって販売機会を失っていることはとても多いのではないかと思います。

ならば、体験プログラム自体をデリバリーするサービスってありじゃないかと。

コロナ禍を経て、大きなコストをかけずに事業ができ、オンデマンドで商品を届けるデリバリーや商品をもって人が集まる場所で商売を行う移動販売の市場が広がっています。体験プログラムも同じように移動販売してみてはどうかと。

もともと、地域では毎日来客があるほどの需要がないので、体験プログラムをなりわいにできるほどではないのでなかなか本格展開できてませんでしたが、1カ所で待っているより、売れるところに出かける。
宿泊施設や観光施設が各社ごとに自ら体験プログラムを展開することで需要が分散していたものを一社が宿泊施設や観光施設の場所を利用して必要に応じて運営できれば地域まるごと効率的にカバーできる。宣伝告知も地域全体で行う。体験プログラムの体験人数が増えれば、クチコミでも広がるし、それが次の参加者へとつながる。需要が見えてくれば、もう1台増やす。

こんな好循環が期待できるのではないでしょうか?

キッチンカーに代表される移動販売車も一台だけでは集客力が小さいですが、10台集まればひとつの商店街として集客力が増します。体験プログラム移動販売車もいろいろな体験を集めてイベントができるくらいになると面白いと思います。

きっとモバイル体験プログラム部隊が地域の観光地の可能性が広げ時代が来るはず!

どんな体験が移動販売に向いているか想像してみましょう。