「中の人」になる産業体験プログラム 18/100

一時間でできること

観光をしてるとその地域ならではの文化、風習について知ることができます。地域に根付いた産業もその一つ。地域では当たり前にある仕事も、外の人にとっては珍しい。
小田原でいえば、名産のかまぼこ、ひもの、寄木細工など。

どれも完成品を味わったり、楽しんだり、おみやげにしたりするのもいいですが、その作り方を体験することでより記憶に残るし、商品に愛着がわきます。その記憶はそのお店、その地域とともに深く刻まれます。

小田原の鈴廣かまぼこの「ちくわ・かまぼこの手作り体験教室」は中でも大人気。
ここではすごく清潔な体験専用キッチンスタジオで職人さんから丁寧に教えてもらいながら、自分だけのかまぼこが作れます。頑張って作ったかまぼこを食べれば、必ず鈴廣さんのファンになりますよね。
そういったファンづくりのためにも「体験」はとても重要な産業観光のあり方です。

近年、地域の産業観光を広げる取り組みが始まっていますが、これまでは観光色を意識しすぎて「その地域独自の」「歴史的な意義」うんぬんとこだわってしまい、その地域でできる体験のバリエーションが広がってきませんでした。逆に、同じ業種の中でエリア内競合を起こすことが多々ありました。たとえば、○○焼きの陶芸体験や○○地域のそば打ち体験など、人気の体験ではありますが、エリア内競合で価格競争になっているのは残念です。

地域資源はすべて観光になるという発想で体験を考えてみましょう。

すでに観光体験になっているもの以外でも、モノづくり、お料理、施設の裏側など、よく知っているお仕事でも、自分がやる立場になることはありませんから、どんなことでも「中の人」になる体験ができるならば結構面白いのではないでしょうか?

ヒントはテレビのバラエティ番組とかクイズ番組にあります。

巨大な機械を見せて、その製造プロセスの一部始終から何を作っているかを回答させるクイズやそれを実際に体験してプロの技の難しさを知ることでその商品やサービスのすばらしさを伝えています。
今ではそれがスポンサーの新しい広告手段になっているわけですが。。。
でも、機会があったら見てみたいし、やってみたいと思いませんか?

せっかくの旅行機会ですから、そこでは普段できないような体験をしたい。
そのモチベーションには「ここだけ」とか「今日だけ」みたいな限定感もほしいですが、「できたものを食べたことしかない」「知ってるけど仕組みは知らない」とかのはじめて感、ドキドキ感があるだけでも体験できれば満足度は高いのではないかと思います。

もう一度、地域のお店、町工場の仕事ぶりを見直して、1~2時間程度の「中の人」体験プログラムを作ってみませんか?目的は「地域のファンづくり」「お店・工場の顧客づくり」。
全国どこにでもある仕事でも構わないと思います。
機械を見る、触る。道具を使う。コツを教えてもらう。自分でやってみる。
全員がその仕事に携わっていることはありませんから、「中の人」になるのはとても貴重な体験になると思います。

そのような取り組みが進めば、その町でできることはどんどん増えていくでしょう。
そうすればその町に来たくなる理由ができる。
一時間あれば楽しむことができる「中の人」産業体験プログラム。
地域の持続的な発展に寄与する気がします。

※新規事業100のカテゴリーは、私の思いつく観光系新規事業を日々書き留める場所。
 一緒にやれそうなときはぜひ声をかけてください。
 100までやります♪