電動車イス常備型観光貸切タクシー 19/100

高齢者向けのタクシー定期券を市場に提案したことがあり、タクシー業界の現状を知ることができました。そこでわかったのは、タクシーと高齢者は切っても切れない環境にありながら、使う人と使わない人の差がとても激しいということ。どちらかというと「使わざるを得ない人が使う乗り物」という印象です。

一方で「車イス」についてもケガ・病気をした人が利用したり、高齢者で歩行困難者が利用する乗り物であり、これもまた「使わざるを得ない人が使う乗り物」というイメージ。

「電動車いす常備型観光貸切タクシー」は、このふたつの「使わざるを得ない人が使う乗り物」をセットにすると観光が楽しくなるという提案です。

最近のタクシー車両は車イスを収納できるスペースを持っている車両が増えています。
中型車両では、最近よく見かけるジャパンタクシーやNV200は、スライドドアで乗り降りがしやすく、大きな荷物も収納しやすい「ユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)」仕様になっています。また、大型車両ではアルファードやエルグランドなど、豪華な雰囲気もあり、室内空間も広く余裕で定員5~6名が乗れるタクシー車両となっています。

そのスペースに「電動車イス」を積み込んで運行するサービスはどうか。
これまでは車イスとタクシーの相性は決していいものではなく、セダン型のタクシーの場合、折りたたみ型の車イスであればトランクに積みこむことができるというものの、トランクが閉まらないケースもあり、トランクからはみ出たらロープで車イスを固定して運行する場合もありました。
上記のようなスペースのある車両が増えてきたことで無理なく車イスを乗せて走ることができる環境が整いつつあります。

車イスもまた進化しています。

WHILLという電動車イスをご存知でしょうか? https://whill.inc/jp/
WHILLは2012年に起業したばかりのベンチャー企業で、車イスを「カッコいい」「乗りたくなる」フォルムに変え、段差や悪路への対応力のある進化型の「パーソナルモビリティ」を生み出しました。
目下、世界中から資金を集め、全世界展開へと向かう注目の企業となりました。
ユニバーサルツーリズムの関係で縁あって何度かお話をさせていただいたことがあり、試乗もさせていただきましたが、スタイルももちろんですが、操作性もよく、小気味の良い動きにはとても驚き、感心したことを覚えています。
ただ、初期モデルでは分解して持ち運びができる仕様でしたが、全部で50kgくらいの重量のため「気軽に」という感じではありませんでした。

それが昨年、2021年の秋に大進化し、総重量27kgで折りたたみ型のmodel f が誕生しました。
価格もこれまでの半額。当然、歩道での走行可能/免許不要。

WHILLの「パーソナルモビリティ」という考え方は、
「100m先のコンビニに行くのをあきらめる」という声から生まれたそうです。
100mというわずかな距離を移動する際にも、 社会的な不安や物理的なリスクを感じている人がいる。 スマートで機能的なモビリティがあれば、その人らしく、 行動範囲を広げられるという目標で作られました。

これを観光に置き換えて考えますと、高齢者の方からするとたとえ健常者であっても以下のような問題を抱えています。
・せっかく旅行に行ったけど、少し歩いただけで疲れていきたいところに行けない
・まわりに迷惑をかけるから出かけるのは遠慮している
・孫と一緒にどこでも行きたいけど、体力的に無理
・ゆっくり行けば何とかなるけど、集合時間までにはもどれなさそう
観光地では、長距離歩いたり、段差が多かったり、長時間かかったり、高齢者の方にとってはハードルが高いことばかり。歳をとるごとにできないことが増えてしまいます。

日常生活では車イスを使わなくてもすんでいる方でも、旅先でもっと行動的に観光できるようにしたい!

そのためのサービスとして、中型または大型のユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)にあらかじめWHILL model f を標準装備した観光貸切サービスを作ってほしい。

そうすれば、家族旅行やご夫婦旅行でも、目的地に着いたら気軽にWHILLの乗って、今まで行けなかったところにも足を延ばして観光できるようになりますよね。これまではお孫さんが元気でとても追いつかなったけど、WHILLに乗れば自分で運転できるから、周りに気遣ってもらわなくてもついていけます。

タクシー会社にとっても、今まで利用しなかった新規のお客様が獲得できますし、貸切代金にプラスして価格設定ができますから増収効果もあります。

「使わざるを得ない人が使う乗り物」ではなく、「旅をもっと楽しむために必要なサービス」として提案できるのではないでしょうか?

※新規事業100のカテゴリーは、私の思いつく観光系新規事業を日々書き留める場所。
 一緒にやれそうなときはぜひ声をかけてください。
 100までやります♪