奉納という名の地域持続性。クラウドファンディング型花火大会のすばらしさ。

新潟には「海の柏崎」「川の長岡」「山の片貝」という世界に誇る三大花火大会があります。縁あって今年はそれぞれの花火大会で仕事をさせていただきました。その中でもっとも印象に残ったのが「山の片貝」。正しくは片貝まつり浅原神社秋季例大祭奉納大煙火といいます。

片貝は新潟県小千谷市にあるちいさな町なのですが、ここでは毎年驚くほどの規模の花火が打ち上げられます。
世界一の正四尺玉、日本一の正三尺玉といわれる大玉の花火が山の中で打ち上げられた時の大音響は周辺の山々に鳴り響き、腹にドスンとくるような重みのある音が近い距離でダイレクトに伝わり、見ている人たちに目と身体に残像を残すようなとても印象的な花火です。なぜこのような小さな町でこれほどの花火大会が生まれたのか?そして、100年以上続いているのか?

地元の方からお話しを伺い、そのすばらしい取り組みにとても感心したのでメモさせていただきます。

一般的に花火大会といえば「イベント」として、スポンサーがいたり、自治体の補助金で賄ったり、最近では桟敷や有料観覧席の販売などで維持・運営されていると思います。ここ片貝では花火大会はイベントではなく「神事」として地元のみなさんが守り続けています。その形式とは、一般人が成人や還暦といった祝いごとや、亡くなった家族の供養、子供の誕生祝、結婚祝、家内安全、健康祈願などそれぞれの想いを花火に託して地元の浅原神社に奉納して打ち上げてもらう“奉納煙火”という行事として維持継続されてきたものなのです。

そして、その想いを込めた花火1発毎に、ベテランアナウンサーが奉納者の名前や会社組織名、奉納した花火の種類、そしてメッセージやコメントを読み上げてから花火が打ち上げられます。

地元のみなさんは子どもが生まれ、入学し、成人して、就職、結婚、退職、還暦へ、そして、亡くなった後には家族が追善供養と親から子へ、子から孫へと節目節目に都度奉納花火を打ち上げます。そして、地域を離れても家族のために奉納するので全国から依頼が届くようになってきたそうです。

一発当たりの基本的な煙火価格は
四号玉 (四寸玉) 10,670円
五号玉 (五寸玉) 16,280円
七号玉 (七寸玉) 33,880円
十号玉 (尺 玉) 71,940円
スターマイン   220,000円以上
色や形にこだわればそれぞれ価格は変わるそうです。

片貝まつりは2日間で大小合わせて約15000発の花火を打ち上げますから、相当な金額規模となりますね。
でもそれらのほとんどを奉納のお金が賄えていること自体が驚きです。

現代に置き換えて言ってみれば、エリアクラウトファンディング的なものですよね。
それを100年前から続けられていることが本当に素晴らしい。

そんな話を聞いた後で見る奉納大煙火はまた格別であり、地域のみなさんの打ち上げメッセージに込められた思いを聞きながら一発一発をあじわうという格別な体験となりました。

「おじいちゃん、たくさんの思い出をありがとう。ずっと大好きだよ~」
「ばあちゃんみんなと楽しく過ごしてますか?とってもさみしいよ。みんなを見守っててね。」

うるうるしながら楽しむ花火もまた一興ですね。