観光客はテレビを見ているように旅したい。

アイディアメモ
京都で活躍する木村英輝(キーヤン)の絵

都市圏の消費者は都会で便利な交通機関があってどこでも行ける。たくさんのお店に囲まれて何でもそろう。自宅でもテレビをつければ座っているだけで楽しませてくれる。。。そんな生活を送っています。 

特に、テレビでは毎日のように旅番組が放送され、視聴者は念入りに取材がされた場所で、プロカメラマンによる撮影、タレントによる現地レポートを軸に、誰にでもわかりやすく手短に楽しむことができる完成度の高い番組を居ながらにして楽しんでいます。 

そこには、最高に美しい風景映像、思わず食べたくなる料理画像、タレントによる笑いの演出、現地の方々との軽妙なやり取り等、映像技術、編集技術から音響、照明に至るまで限られた時間の中で視聴者に情報を伝えるための技術が詰まっております。 

さらには、映像・音声だけでは理解できない、把握しきれない視聴者のために、司会者やプレゼンテーターによる適切な解説を入れたり、わかりやすいフリップやテロップ等を挿入したりして番組進行をリードするなどのテクニックを駆使しております。 

TV視聴者は気がつかない間に黙って座っているだけで楽しむためのお膳立てをすべてしてもらっているというわけです。

でも実際に旅に来てみると、アナウンサーもいなければ、タレントもいないので、説明してもらえない。自治体の作った説明文は文字ばかりで理解しづらい。ガイドがいなければ見たいものを見過ごしてしまうというのが現実。「思ったイメージとは違った」なんていう声もよく聞きます。

芸術に素養のない私が海外の美術館に行って、名画といわれる絵画を見ても、説明はないし、言葉もわからずチンプンカンプン。残念な思いをしたことを思い出します。

そんな不自由を感じながらも、お金を払えば、すぐに「見る」ことができるし、「遊ぶ」こともできる。おいしい料理を「食べる」こともできる。だから、お目当ての場所に行き、泊まり、食事ができればそれなりの満足度で旅を終えることができるのも事実。

まるでテレビで見たことの確認をしに行ってるみたいですね。。。 

とはいえ、これを観光事業者の視点からうまく商売に取り入れないものかと考えてみますと、
・観光客にとって説明が足りていない部分はフリップを用意しておく。
・地域のことを知らないのが当たり前ということを理解したうえでわかりやすく説明する準備をする。
・口頭では伝わらないものは動画で対応する。
・クイズやゲームで演出して注目を集める。
などのテレビ的な演出や工夫はありかと思います。
「感動ポイント」「シャッターチャンス」「笑うポイント」、いろんなポイントをあえて可視化することで伝わることはきっと多いはず。

地域の観光においては、SNSで「勝手に」宣伝してくれる観光客を作ることが必要な時代です。
そのためにも引き続き、「TV的演出を期待する観光客」になにを用意すべきかを考えていくといいですね。