マイクロエコツーリズム 23/100

新規事業100

エコツアーとは「地域固有の歴史文化や自然環境を保持しながら、持続的に地域の活性化を図るエコツーリズム」(日本エコツーリズム協会)の考え方に基づいて実践されるツアーの一形態。
国内では国立公園や国定公園等、自然が守られているエリアで、参加者はどのような動植物、昆虫、魚がいるかを実際に自分の目で確かめつつ、それを守ることの大切さを学ぶという実に意義のある体験です。

地球温暖化、自然生息地の喪失などの社会課題に対するSDGsへの取り組みの拡大、さらにアフターコロナの密回避の感情からくるアウトドアツアーに対するニーズに高まりを受け、エコツーリズムは新たなトレンドとして注目されています。海外調査によると世界のエコツーリズム市場は、2020年に1,810億米ドルの規模に達し、2021年から2026年の間に市場は14.4%のCAGRで成長すると予想されています。国内でもエコツアー、アドベンチャーツアーの商品は年々増加していますし、訪日インバウンドの旅行者が戻ってくればさらに熱が高まることでしょう。

いまでは全国の観光地でエコツアーへの取り組みが進んでおり、専門家、研究家や学者の方などが豊富な知識をもとに案内してくれています。植物に詳しい専門家、地質学に詳しい研究家、昆虫博士等がリアルの事前のすばらしさを熱っぽく語ってくれると参加者もどんどん引き込まれていきますよね。

沖縄の東南植物楽園は古くからある人気観光スポットですが、現在、園内でさまざまなイベントやツアーを開催して、来園者の満足度を高める取り組みで成功しています。
そのなかのひとつに夏休みに開催する昆虫ナイトサファリというエコツアープログラムがあります。昆虫博士が沖縄の昆虫について説明した後、夜の園内に仕掛けた「蜜トラップ」、「ライトトラップ」で夜に行動する姿を観察し、昆虫を通して、自然や環境問題、食糧難など解説してくれる体験型イベント。昼間とは違う夜の植物園で昆虫たちの世界を楽しめます。
そこにはカブトムシ、クワガタムシだけでなく、本州からの子どもたちが見たことのない不思議な模様の蛾や蜜を求めてやってくる甲虫類が集まり、リアルな昆虫たちを手に取って大興奮。

旅ナカで出会ったその興味が冷めないうちに、次につなげたい。
と思ったときに、やってほしいのは参加者の地元でも同様にエコツアーを開催してほしい。

私は旅行の面白みというのは比較文化であると思っています。
自分が住んでいる国、地域、町と知らない国、地域、町との間にはどんな違いがあるのか、なぜそのような違いが生まれたのか、いろいろな国や地域に行けば行くほど比較するものが増え、それらの記憶がつながってくると旅はますます面白くなる。

エコツアーの場合、自ら参加して初めて見るもの、聞くこと、知ることがとても多すぎて、ツアー中は大興奮しているのですが、自宅に帰ってくると忘れてしまっていることも多いんです。
それがもったいなくて。。。
なので、自分が住んでいる地域のことを知る機会がほしいなぁと。
そうすれば、地域の植物、動物、地理、歴史などの予備知識がたまる。そして、旅先で出会う生き物、食べ物にも、ちょっとした景色にも、自分知っている土地の知識との比較ができる。
エコツアーってそんな繰り返しで学びや体験を増やしていくことで、その意義を深く理解できるようになるのではないでしょうか?

もちろん、地元は地元の専門家がいて、市役所や環境団体などの主催でエコツアーを実施することもあるのですが、教育目的感が強すぎたり、ツアーとして販売していないので気づかなかったり、参加者層が合わなかったり、まだ商業ベースにはなっていない印象。(私の意識が低いのかもしれませんが)

SDGsという言葉がここ数年大きく取り上げられて、17の持続可能な目標のひとつひとつをなんとなくわかりかけている気がしているのですが、これは頭で覚えることでなく、身近な課題を実際に目で見て、知識を身につけた方が理解が進むものだと思います。

エコツアーのさらなる市場拡大は、旅先だけでなく、住んでいる地域においても日常の中にある様々な社会課題をエコツアーの切り口で学べる機会として、これから求められるはずです。
SDGsの目標達成には、短時間でもいいので、さまざまな課題とその解決の必要性を地域の共通認識にするためのエコツアーが数多く生まれるといいですし、それが定着すれば旅先でのエコツアー参加の面白さは今よりずっと高まることでしょう。

マイクロツーリズムならぬマイクロエコツーリズムということですね。

※新規事業100のカテゴリーは、私の思いつく観光系新規事業を日々書き留める場所。
 一緒にやれそうなときはぜひ声をかけてください。
 100までやります♪