2019年まで一気に拡大してきた訪日インバウンドは過去最高の3188万人となり、翌年の東京五輪を控え、ますます増えていくという想定で世の中は進んでいましたが、一方でオーバーツーリズムや外国人のマナー問題、爆買い、民泊トラブル等の課題を抱えたままの好調時期でした。
いったんインバウンドの大きな波がリセットされたここ数年の間に観光庁の多言語解説文整備事業がかなり具体的に進んでいます。その成果の一つが「地域観光資源の英語解説文作成のためのライティング・スタイルマニュアル」であり、さらにわかりやすくしたのが「HowTo多言語解説文整備」です。
これまでの看板・パンフレット・多言語ホームページは、一気に外国人が増加したためにまずは「単純翻訳」、場合によっては「機械翻訳」が主流でした。この間、並行してAI技術が進み、翻訳も機械でいいんじゃないかといわれるくらいになってきているのですが、問題は翻訳技術ではなく、分かりやすい「ライティング」にあったということをきちんと理解して出来上がったマニュアルです。
国が作ったマニュアルなので、人物や施設の名称、時代や数量・単位の表現までキチンとしたルールを作って例示しているのですが、このマニュアルがこれまでと違うのは編集方法や編集体制まで示しているところです。
江戸時代って私の国ではいつのこと?
建物の大きさを自慢するのではなく、この建物がなぜ評価されている?
「戦後」って、どの戦争のあと?
東京ドームいくつっていわれても、まったくわかりません。
その事件によって何がどう変わったの?私の国には関係あるの?
そこでわかるのは、観光案内分の解説については、これまでのように翻訳者だけで作るのは無理だということ。外国の事情がわかる専門家のライターの必要性を示し、原稿作成から編集、ファクトチェック、校正に至るまでほぼ出版社の仕事を求める内容となっています。
「短期的な結果を求めるプロモーション」から「長期的な視野に立ったコンテンツづくり」へのシフトを感じさせますね。
アフターコロナになったら行きたい海外の国の上位に選ばれている人ですから、外国人旅行者が日本に戻ってきたときには大きな観光地だけでなく、全国津々浦々を楽しむことでしょうから、この「多言語解説文」作成事業は大きな市場規模になることでしょう。一度基本データを作成すれば言語の数を増やしていけるし、媒体としても、案内表示看板だけでなく、ホームページでも音声ガイドでもパンフレットにも使えます。結構なビジネスになりますね。ただし、民間だけではできないので自治体が予算化してくれないとダメですが。。。
この解説文の必要性は当然日本人向けにもニーズは大きいと思います。
日本の歴史も文化も知っているようで覚えてませんし、人によって興味のあるなしは違うので、出れ下が興味を持ってもらえるような解説文は必須。
今だからこそ、すべてをリライトしてもいいのではないでしょうか?
こういった仕事には地元を知り、地元を語れる人が必要ですから、若い人たちの新しい仕事として予算を用意してもらえるといいですね。
※新規事業100のカテゴリーは、私の思いつく観光系新規事業を日々書き留める場所。
一緒にやれそうなときはぜひ声をかけてください。
100までやります♪