観光専門事業承継マッチング 43/100

観光庁が1月31日に発表した宿泊旅行統計(速報値)によると、2021年に国内の旅館やホテルに宿泊した人は20年比4.8%減の延べ3億1575万人。2019年比では47.0%減だった。宿泊者数の内訳は、日本人が20年比0.1%増の3億1154万人。外国人は20年比79.3%減の421万人だった。東京オリンピックがあったものの、無観客開催だったり、第5波のピークだったりして日本人も外国人も動かず。

全く需要が蒸発してしまった観光業、旅行業にはこの2年間、事業や雇用の維持のため新たな給付金制度、持続化補助金、コロナ対策整備事業、雇用調整助成金、その他さまざまな形で補助金や融資等を実施し、倒産や廃業を出さないよう国や自治体が支援をし続けています。

帝国データバンクによると2021年の旅館・ホテル業の倒産件数は70件で前年の118件から40.7%減少。倒産件数は減少しているものの、コロナ融資など有利子負債の借入金は増加しており、過剰債務の深刻さがより高まり、倒産リスクが高まっているのが現状となっています。

一方で、休廃業・解散の件数は174件と前年から43件増加、過去5年で最多。

ここまでなんとか支援を受けながら細々とつないできたのですが、そろそろ耐え切れず、事業をたたんでしまう事例が増えているようです。ここまではデータが開示されている宿泊施設の話でしたが、観光施設や土産店なども同様で、観光地を見てみるとシャッターが閉まったままのお店が増えてきています。コロナ禍の影響が一番大きいのでしょうが、事業再開を断念するケースは経営者の高齢化という理由も併せて考えなけれはなりません。

事業承継は今や観光産業だけの問題ではなく、日本全体の中小企業の問題といえます。
現状、事業承継はあまり進んでいるとはいえず、事業の将来性への懸念や近年の業績の悪さ、従業員との関係維持への懸念等の理由から外部への承継を断念しているケースが多いといわれています。私も起業するにあたり、まったくの新規事業を起こすより、もともと事業があるところからのスタートのほうが安全と考え、事業承継について調べたり、聞いたりしたのですが、実態としては。。。
経営者が高齢の場合には、「事業承継のことを考えたくない」「事業承継に焦りを感じるが対処しきれない」「廃業した方が楽かも」のような要因から、事業承継事案がマーケットに上がってこないのが大半のようです。ということで、事業承継を完結させるまでにはかなりの時間を要しますので早々にあきらめました。

しかしながら、アフターコロナの兆しが見える今、あらためて事業承継市場が活性化するチャンスかも、と思っています。
コロナ禍の2年で当然ながら平均年齢も2年上がっているわけですから、事業を手放したい観光事業者も増えるでしょうし、この先何年かけて増えてしまった有利子負債を返さなければならないのかと考え疲れてしまう方もいらっしゃるでしょう。

今のところまだ自治体の事業承継のホームページを見ても案件は少ないし、民間の事業承継のマッチングやコンサルタントはM&Aや大型案件探しがメイン。地方の観光地の観光事業者まで手が回っていなさそうです。
高齢の観光事業者の事業承継を進めるためには「事業承継の段取りを代行」「成果報酬型」「従業員の安心」をセットでやってあげるサービスが必要だと考えています。「事業計画とか作ったこともない、融資は銀行まかせでここまで何とかやってきたけど、もうこれ以上細かいことはやりたくない」という人たちをなんとか事業承継の市場に引き上げないと観光地のアップデートは進まず、シャッター通り商店街になってしまうことでしょう。

大きな投資額の必要がない零細観光事業者の事業承継は若年層の起業家にぴったりだと思います。
地域密着の不動産会社の仕事に近いと思うのですが、どうでしょう。
物件までセットで商売になりますから、すごく事業親和性が高いと思います。

※新規事業100のカテゴリーは、私の思いつく観光系新規事業を日々書き留める場所。
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 100までやります♪