最近、地方自治体と民間企業との間で「包括連携協定締結」というニュースをよく目にします。包括連携協定とは、「地域が抱えている課題に対して自治体と民間企業が協力し、解決を目指す協定」となっているようですが、地域の課題といってもまちづくりから防災、福祉、環境等多岐に渡っているだけに「包括」とはどんな範囲を示すのががわかりにくいなぁと横目に見ています。
でも、自治体にとっては「なじみの民間企業」がひとつあるだけでも課題が発生したときにまずはその企業のコンタクトをとれるというだけでも動きやすいのでしょうね。今はすべてを公明正大にコンペして物事を決めなくてはなりませんので、特定の企業になにか聞こうとしても、つながっているのではないかとうがって見られたりしますから、なかなか面倒だと思います。
包括連携協定締結により、企業が持つノウハウや最新の技術、サービスを自治体に取り入れて、地域の課題解決や市民サービスの向上に役立てられるというこの考えのはとてもよいことだと思います。
課題としては、協定書の内容が曖昧であったり、自治体と企業との間で期待値のすり合わせができていないことで齟齬が起きるということがどうしてもあるようです。
そこで、連携することを「観光」に絞って考えてみます。
観光振興を課題に持つ自治体が連携協定を締結するとなるとその相手は旅行会社?
となってしまうと単なる独占契約になりかねません(笑)
観光振興といっても、観光資源開発から、情報発信、来客誘致、事業者誘致、観光人材育成、人材確保等、ほかにもさまざまな課題があります。そして、常々思っている大きな課題が、地域の観光を担っている事業者が高齢者中心であること。
地域としてはとにかく若手の人材をなんとか確保できる仕組みがほしいですよね。
それを「DMOと大学・高校との観光包括連携協定締結」によってできないものかと。
自治体と学校との連携となるとなんだか時間がかかりそうなので、もっと現場に近いDMOとの連携がいいのではないか、そこには行政の方だけでなく、事業者の方が多く参加しているので、事業者寄りの連携をしやすいのではないかと思います。(地域によって、DMOの役割によって異なりますが)
地域のDMOとしては、若い人の参加による観光マーケティングがしやすくなったり、新しい取り組みに知恵が集めやすいし、イベントの運営を手伝ってもらったり、地元観光事業者への就職あっせんができたりすればありがたいでしょう。同じ学校であっても年度が替わればまた新しいメンバーと交流ができるというメリットもあります。いずれにしてもおじさん、おばさんだけではできないことはたくさんあるものです(笑)
学校のほうは、観光学科、ホスピタリティ学科のある大学や専門学校、商業課程の高校あたりが対象でしょうか。学校としては観光の現場でのフィールドワークがしやすくなる、授業で検討した仮説や提案を実習する場が生まれる、観光事業者の実態に触れることができる、就業体験ができる等、さまざまなメリットがあると思います。教授・先生も実践的な授業ができることにメリットを感じると思います。
うまくつながれば、その地域の観光事業者に就職して、若手が地域の観光の担い手になるなんていう好循環が生まれるかもしれません。
「自治体と民間企業の包括連携協定」では話が大きすぎますが、「DMOと大学・専門学校」の組み合わせで観光包括連携協定を締結して取り組みを進めることが次世代の観光にとってとても大切なのではないかと思っています。
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