最大の着地 東京でのヒット商品づくりがなにより大事 47/100 

アイディアメモ

発地から着地へ。
旅行商品は都市圏にある旅行会社が現地の観光事業者の情報を集めてツアーを作って販売する「発地型」が販売効率がよく、集客力が高いため、長く主流となっています。主に大量送客用にできているので大人数で押しかけても耐えうる観光地や観光スポット、食事箇所が選ばれたりしていました。しかしながら、インターネットが、スマホが普及し、旅行会社の商品にはない個人向けの観光スポットやグルメの情報、今でいう映えるスポットなど、個人のし好に合わせた旅行スタイルと大量送客型の「発地型のツアー」がミスマッチを起こすようになりました。そこで、10数年前だったと思いますが、従来は旅行会社の意向に合わせた商品提供をしておけば一定の旅行者が集まっていた「着地」の自治体・観光事業者等が自ら地域の魅力を「発掘」し、新しい「着地型商品」として様々なプログラムを作り、着地からのアピールを始めました。ちょうどその動きが地域活性化や地域ブランド推進にもつながるということで、旅行業法において都市型の大手旅行会社でなくても、地域限定主催ツアーが企画販売できる制度が生まれ、着地型商品の市場拡大に大いに期待していました。

コロナ禍の影響はさておき、着地主導のツアーやアクティビティの開発は今も続いていますし、数年前のインバウンドの大ブームだった時には外国語対応ができるツアーもたくさん発表されていました。
同時期、海外の旅行業界においては交通・宿泊に次ぐ次世代の主力商品として、メジャーなOTAや旅行情報サイト等が着地型商品販売のプラットフォーム企業の&A投資が派手に繰り広げられました。

「着地型商品」の課題は、大きな宣伝力もマーケティング力もない地域の自治体や観光事業者が全国1700以上の市町村単位くらいでバラバラに宣伝告知をしているために旅行者および旅行会社への商品情報の周知が行き届かずなかなか売れないとか、集客が少ないためにサービス自体のブラッシュアップがなされないとかでいい循環が生まれていないのが実情ではないかと思っています。

宣伝力はなくても「めちゃおもしろい」「もっと体験してみたい」「いい思い出になった」という商品・サービスであれば、この時代ですから口コミで勝手に広がるのではないでしょうか?
ただ残念ながらインスタやTikTokとかでアップされているのは「映える」ものばかり。
新しい市場の新しい商品・サービスなのですが、都市圏の旅行者、特に若い世代がお金を払ってもいいと思ってくれるヒット商品に恵まれていないのではないかと心配しています。

そんなこともあって「着地型商品はなぜ売れないのか」というテーマで過去からいろいろと研究をしているのですが、商品自体が認知されれば売れるわけでもなく、やはり商品・サービスに魅力がないといけないわけで。。。
「その地域だけ」とか、「数百年間続く」とか、「秘伝の」とかの言葉だけでなく、体験する時間そのものに魅力付けが必要なのではないかと思っています。

その答えの一つが「東京で生まれた着地型商品がない」ということかと。

東京に住んでる人からすると東京は「発地」なのですが、国内の観光消費から見ると東京は「日本最大の着地」であることに気づいていない(笑)旅行会社が多いです。
東京を目的地にした商品は「ディズニーランド」とホテルを組み合わせれば「勝手に」売れます。ここが問題でして、いくら知恵を絞っても、どんなことをしても「ディズニーランド」を超える商品はできないので「発地の旅行会社」としてはそれ以外の商品を出しても誰も評価してくれません。だから、「着地」である東京の自治体・観光事業者による「着地型商品」がいろいろと開発されているにもかかわらず、発地目線で「オプショナルツアー」扱いになってしまいます。つまり、発地から見ると主力商品ではなくオプション扱いとなります。
せっかく、日本最大、世界でも有数の着地市場が目の前にあるのに、着地型商品を命がけで作って販売している旅行会社がないように思います。「この巨大市場で開発した商品が売れなければ全国どこにもっていっても売れない」という思いで「売れる着地型商品」を開発しなければ交通・宿泊に次ぐ新しい市場は広がっていかないと思います。世界中の観光産業、旅行業界が注目している市場だけにこの視点はとっても大切なのではないでしょうか?

大手旅行会社や鉄道会社が毎年需要喚起のためにいろいろな地域と組んでデスティネーションキャンペーンを展開していますが、着地型商品とかTour & Activity商品の市場拡大に向けては 「まず東京」で実績がほしいところです。

2020年の東京都観光客数等実態調査によると1月~12月で都内の観光地点759ヵ所の集計による観光入込客数(延べ)はなんと6億41百万人。
「発地」とか「オプション」とか「着地」とか分けてる場合じゃないです。
次にインバウンドが戻ってくる前にやるべきとても大事なことですね。

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