とりいそぎ観光DXで実現したい旅ナカ満足 55/100

新規事業100

観光DXといえばMaaS(Mobility as a Service)といわれるほど交通機関と観光のシステム連携・データ連携についての取り組みが盛んです。今や全国ここかしこで実証実験が進んでいますが大半が大手の交通機関主導であり、中小事業者の集まる観光事業者はなかなかついていけません。
私の中では仮にシステム的に電車とバスとレンタルサイクルがシームレスに一つのアプリ上でデータ連携しても、それはそれで便利になっただけで「観光行動を決定的に変える」ためのツールとしてはまだまだかなと思っています。交通機関のデータはつながっても、リアルでは時刻と時刻の間に交通機関がつながっていないためにポッカリとスキマ時間が生まれているのはそのまま。そのスキマをパーソナルモビリティで埋めるのか、観光コンテンツで埋めるのか?そのあたりの取り組みはこれからです。
その時に向けて、観光事業者のほうはせっかく便利になった情報を生かして、その到着時間や滞在可能時間に合わせたサービスを開発したり、そこに合わせた旅行目的を提案したりする「ずるがしこさ」を身につけないといけないですね。今のところ、アプリを提示すると割引を受けられるとか、特典がもらえるとかくらいのメリット提供でお茶を濁しているのはちょっともったいない。せっかく蓄積されつつあるデータを活用できるようになるといいですね。

私の思う観光DXは「観光行動を決定的に変えるためのツール」を実現させること。
旅行を計画する人、おでかけ先を探す人、キャンプに行きたい人など、いろいろな方がいらっしゃいますが、インターネットやSNSを検索して本当に満足できる選択肢の中から行先や目的地、行動を選んでいるのだろうか?と常々思っています。
旅の目的地を決めるだけでも選択肢は無限大ですから、そんな夢みたいなことを言っても無理だろうという声が聞こえてきますが、もう少し絞って考えてみましょう。
私が長い間旅行会社にいたにもかかわらず、いまだに解決できていない困りごとは
「旅ナカで次に行くところの選択肢がなさすぎること」
出発前には時間もあるので旅行目的地を決めて、行程を作るところまではある程度納得するまで調べられます。しかしながら、現地に着いた後に早めに観光が終わったり、調べておいたお店がもうひとつかなと思ったり、その都度悩みながら行動するのですが、その時の選択肢がなさすぎ、情報量が少なすぎ、情報信頼度が低すぎと叫んでしまいます。

これをなんとかしたいですね。

ひとつの解決策としてはその地域を知らない旅行者がプル型で情報を得ようとすることに問題があるということ。ネットで検索しても納得できるものがないときにでも、地元の人とお話ししているうちに聞き出した地元グルメの情報のほうが信頼度が高かったりしますよね。つまり、地元の人たちが満足しているような有益な情報はネット上に転がっていないからプル型で探しても行きつかないのが現状。

これをプッシュ型でできないものか?
ここに気の利いたシステムを開発することで観光DXが実現できないものか?

こんな仕組みどうでしょう。
地域の観光としての悩みで大きいのが
「すでにこの地域に来ている人たちにアプローチする方法がないこと」
それを地域にチェックインさせることができれば、時間・場所・人数・嗜好性等の情報をもとにリアルタイムにアプローチできるしくみがあればいいかなと。

流れとしては
①駅に到着する→QRコードを読み込むとその町にチェックインできる
②質問に答える 「あなたは旅行者ですか」「スイーツは好きですか」など5つくらいの質問で好みを引き出す(=その旅行者にタグ付けをする)
③観光行動中「次、どうしようかな」と思ったら町なかにあるQRコードを読み取る
 →好みに合った滞在地点周辺情報のみをプッシュ配信でお知らせする
 ※当日最寄り店舗・イベント・観光施設がアップしたInstagramのリールやTwitterの投稿のみをピックアップして配信(これが地元の人たちとおしゃべりをして聞き出すことの代わりになります)
④プッシュした情報に従って店舗・イベントなどに行った場合には値引きや割引クーポンが受け取れる

これを延々と繰り返すとどんな嗜好性の人がどんな情報に食いつくのか、それによってどのような行動変化となるのかが見えてくるはず。
特定の趣味を持った人、たとえば②のアンケートで「鉄道ファン」と特定できるならば、鉄道ファンが振り向いてくれるような情報を作ってプッシュすることで行動変化が起きないでしょうか?すべてをプッシュ型の売り込みにするのではなく、鉄道ファンが好みそうな観光スポットやフォトスポットも配信できると情報の信頼性が高まるでしょうし、地域の詳しい人とチャットでやり取りできるとか、お店に行くとさらに情報がとれるとかのコミュニケーションまでついてくれば、かなりの行動データになります。それが蓄積するとある日なにもない場所に人が集まっていたりして、そこが新しい観光スポットにもなりうるというイメージです。
地域の店舗、観光事業者、イベント主催者の方々はこの地域に「今」チェックインして周遊している旅行者に対して、どうすれば来てもらえるのか?を今まで以上に工夫してアプローチできる仕組みになると思います。

地域にチェックインするメリットとか、旅行行動中にQRを読ませる工夫とか、まだまだ考えるべきことは多いでしょうが、「検索して見つけてもらう」より「今そこにいるあなたに情報をみてもらう」ほうがいいのではないでしょうか?

※新規事業100のカテゴリーは、私の思いつく観光系新規事業を日々書き留める場所。
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