目的で選ばれる旅ナカ体験プログラムづくりが大切 67/100

旅行業界では4月半ばとなるとすでに夏商品発売前の最終段階。ゴールデンウィークが明けると一気に夏休み中の商品が売れ始めます。いまだGOTOトラベルが再開されていませんが、今年の夏商戦はどうなることでしょう。今年こそ是非復活してほしいものですね。

旅ナカ体験プログラムがなかなか事前予約されない件について。
各地域で着地型商品とか、体験プログラムだとかは開発され、販売もされていますが、今一つ盛り上がらない。その理由の一つが旅ナカ体験プログラムが「旅行に行く目的になっていない」ということ。

旅行に行くにあたり、交通機関や宿泊施設はマストで事前予約の対象なのですが、目的地やその周辺の観光スポット、グルメについては出発前にある程度は決めて出発するものの、現地での観光行動の半分以上の時間は現地についてから探すというのが観光客の常。最後は時間が無くなって、とりあえず目立つところ、行列ができているところ目指してGo!!みたいな感じだと思います。

そんな状況なので、人気のそば打ち体験やトンボ玉づくり、ガイド付ツアー、カヤック体験等の時間消費型のプログラムはその存在を知らずに行くと「時間がない」という理由で却下されてしまいます。
体験の主催者としてはできれば旅行出発前にその存在を知ってもらっていて、事前予約したうえで参加してもらいたいものです。

事前予約までして参加したいかどうか?
ここが「旅ナカ体験プログラム」のむずかしいところですね。

「体験」というわけですから、「やったことがない」「その楽しさを知らない」「食べたことがない」という未知のサービスにお金を払うわけですから、なかなか予約してまで交通費を払ってまで行きたくなるかどうかが問題です。

それを解決するためには「体験」を「目的」に変えることが必要ではないかと思います。

以前からずっと思っているのが、「夏休みの自由研究」を解決するいろいろな体験プログラムを全国でやりたいということなのですが、それを切り口に考えてみます。
たとえば、いろいろな遺跡で行われている「原始体験」ですが、日ごろから原始時代に興味がある、歴史に興味があるという子どもたちは参加してみたいのでしょうが、旅ナカで2時間とか3時間となると親のほうが時間を持て余して乗り気にならない(笑)

では切り口を「夏休みの宿題解決 原始生活体験」としてみましょう。

とたんに親のほうが乗り気になり、「夏休みの自由研究」が解決するなら参加しよう、というノリに変わると思います。この瞬間、お金を払うおとうさん、おかあさんの頭の中で、この体験プログラムの目的は「原始生活体験」ではなく「夏休みの宿題解決」へと変わります(笑)

タイトルのつけ方ひとつで大きな差が出ます。
ですから、なかなか認知度が高まらず、参加客が少ないと嘆いておられる体験プログラムの主催者の方はプログラムの中身で訴えたいことを今一度整理してタイトルに反映してみることをお勧めします。

そんなことを考えながら書いていたら、
近ごろの子どもたちは電子マネーになってしまい、現金を扱う機会がどんどんなくなっている、POSレジが普及しておつりの計算すら必要ない、という声を聞いたのを思い出しました。

そこで、原始生活体験に夏休みの宿題解決に加えたところにさらに「お金の成り立ち体験」をたしてもっと強い「目的」にできないか、考えてみたいと思います。

縄文遺跡の中で竪穴式住居で料理したり、草鞋を作ったりする体験をしつつ、お金のない原始時代にどのようにしてモノとモノとを交換したのかを体現してみる取り組みをたしてみます。
・おなかがすいたけど食べ物がない
・あのおともだちはたくさん食べ物を持っている
・あのおともだちの荷物を運ぶとじゃがいもをもらえる
・余ったじゃがいもをもっていくと毛布がもらえる
みたいな物々交換とかのしくみを原始の体験の一部として経験できるなると単なる生活体験だけじゃなく、金融とか社会の仕組みの体験にもつながります。もっと勉強になることが増えるということ。

このような工夫を重ねて「参加したくなる理由」をより強くする。
「夏休みの宿題解決」という目的に「社会の仕組みを知る」とか「SDGsにつながる」だとか、「原始体験ができる」というタイトルではなく、目的を体験のタイトルにした商品づくりがこれからは大切になると思います。そのような工夫があればあるほど目的意識が高くなる、そうするとお金を出してでも買いたくなる、という優良なビジネスモデルに近づけると思います。

あの店で美味しいラーメンを食べたいという目的があるだけで1時間以上車を走らせて800円のラーメンを食べに行く。「目的」は価格を超えて目指したくなるものです(笑)

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