先日、小田原市観光戦略ビジョンの策定業務についての公募が発表されました。令和5年度から8年間の観光戦略を描く業務となります。観光資源の魅力や課題を抽出したうえで、観光のテーマ、今後の方向性、目指すべき将来像を定めるという壮大なテーマを一年かけて作り上げます。
おそらくどの地域もそうですが、現在リストアップしている既存の観光資源というものは数年先を見据えても大きく変わるものではなく、観光スポットが減ったり増えたりするものではありませんから、新しい観光政策ということで画期的な取り組みを提案するのも大変だなとみております。
小田原市は「小田原城一強」のイメージが強いので、これを変えていくのは観光戦略ビジョンをアップデートするたびに議論され、毎回いろいろと工夫を重ねてきたんでしょうね。でもなかなか「一強」からの脱却は難しい!成果を求めるならイベントでの集客となりますが、年間数日だけの取り組みとなってしまう。
町の景色ってそう簡単には変えられませんので、イメージチェンジって難しいですよね。
毎年のように手を変え、品を変え、形を変えて観光パンフレットを作っていますが、パンフレットのデザインだけでは町の印象までは変えられません。ついにはスマホの時代になってしまい、パンレット自体が手に取られなくなりつつありますから、その役割にも限界か来ています。
ただ、長年観光地をみていて最近目にとまるのが、店舗デザイン。
昔ながらの観光地のおみやげやさんや飲食店の間にポツポツとおしゃれなデザインのお店が出現しています。スタッフも若い方が多いようです。
町並の整備事業でも、古い町家や古民家をリノベーションして、ゲストハウスやカフェ、雑貨店として開業するケースも増えてきています。
売っているもの、食べられるものは地元の名産ですから、これまでと大きく変わっていないように思えますが、店構えも内装もスタッフのウェアもメニューも食器もちゃんとデザインされたものを使うことでものすごく新しくなった感があります。
地域のよさ×東京のデザイン(都会的なデザイン)
レトロ感はあるけど、小ぎれいですっきりしたデザイン
これで「変わった感」が出ますよね。
するとその店舗の周りには同じようなおしゃれな店が集まってくるという好循環が生まれていきます。
「アド街」で長野の善光寺さんの周辺のリノベ店舗集積を紹介していましたが、まさに「ここまでやれば町が変わる」の成功例といえます。すでに善行寺周辺では10年以上の月日はかかりましたが、100以上のリノベが進んでいるそうです。デザインを変えるにはとても時間がかかりますが、変える意思があればできるということを証明してくださっています。
MY ROOMさんの取り組み https://nagano-citypromotion.com/nagalab/special10_01/
ということで、地域ごとに「地域デザイン」もしくは「地域デザイナー」という仕事が生まれないかと思っています。
単に不動産の話ではなく、「地域全体をどのように伝えるかの総合的なデザイン」「こういうデザインの町に変えていきたいという意思」を作る役割が大事ではないかと。先にデザインコンセプトが決まっていると、それにしたがってデザインガイドラインを作る。そうすればパンフレットを作るのもYouTubeで動画を発信するのも、ホームページも一貫性のあるデザインで統一して伝えられる。ガイドラインの中で、キャッチコピーやキーワードの使い方なども規定すればいい。
観光資源そのものは一気に変えられないかもしれませんが、昭和のままでとまっているもの、とがりすぎているもの、わかりにくくて伝わらないものなど、「見せ方」「伝え方」を変えることで観光客から見たその地域をアップデートしていけるのではないでしょうか?
「デザインにお金をかける」のが苦手な国ですが、今の観光地が昭和に作ったまま手をつけられずに残っていることが大半の観光地の根っこにある問題だと思います。
これから先の地域のためにも、「古い」「くらい」「わかりにくい」からの脱却を提案する地域観光のデザイナーが生まれれば、見た目の問題、建物の問題だけでなく、地域のイメージも変わるし、楽しみ方も変わる、プレイヤーも変わる、そんな期待をしたくなります。
できれば外からの人ではなく、地域を知っている、地域に住んでいる、地域を愛する人から生まれてほしい職業です。
※新規事業100のカテゴリーは、私の思いつく観光系新規事業を日々書き留める場所。
一緒にやれそうなときはぜひ声をかけてください。
100までやります♪