そろそろタクシー観光のポータルつくるべき 80/100

新規事業100

2006~2007年ごろ、大阪の多言語コールセンターと京都市内のタクシー車両を携帯電話でつなぎ、外国人観光客と外国語ができないタクシー乗務員さんの間で3者間通話を使った通訳案内の仕事をしたり、2015年から旅行商品のしくみを使った定額乗り放題のタクシー定期券を商品化したり、少なからずタクシー業界にはご縁があります。

電動車イス常備型観光貸切タクシー 19/100
「二刀流」タクシードライバー 21/100
お出かけ支援サブスクタクシー 41/100
これまでこんな提案もしてきたのですが、今回は「タクシー観光ポータル」について。

タクシー観光を紹介するホームページはないわけではありません。
タクシー観光だけに特化したポータルサイトがあればなぁ、ということです。

タクシーの全国ポータルサイトでは、観光タクシーを売るときの切り口は「貸切タクシーを売る」という表現になっており、車両タイプ、車種、貸切時間を提示して「どうですか?」っていう見せ方になっている気がします。あとはタクシー会社を選んで希望日時・行き先・人数をお知らせいただければ見積を出します。どこでも行きますよ~。みたいな。

東京や京都のタクシー会社のホームページでは、たくさんのモデルコースを掲載して観光貸切を促すパターンが多いですが、売り方としてはやはり貸切車両を売る表現ですね。当たり前ですが(笑)
ただ、問題は所要時間4時間、6時間の中でいろいろなところに行けるように書いてありますが、見学時間や食事の時間が全く配慮されていないものが多くて、結局当日までどこどこに行けるのかがわからないという弱点がありますよね。逆に言えば、とても自由度が高くて好きなところに行けるということになります。

一方で募集型企画旅行として、旅行ツアー化して販売している場合には、一般の旅行商品と同様に詳細な日程表を提示して、食事の有無、入場料が含まれているかどうかなど細やかに旅行条件が定められています。ただ、募集型企画旅行に特化した観光タクシーの掲載商品数は限られています。なぜならばタクシー会社=旅行会社ではないからです。一部の旅行会社登録を持っているタクシー会社が募集型企画旅行の販売を行うことができますが、それ以外は旅行会社に商品造成を依頼して販売しなければなりません。タクシー会社の本業とは異なるのでなかなか進まないということになります。

そんなような事情もあるため、観光タクシーの販売手法についてはあまり進化していないような気がします。正直申し上げて、貸切タクシーは決してお安くはないので、販売するにしてももう少し工夫してみてはどうか思っています。

また、今後、一層の高齢化が進むとなると「ラストワンマイル」、つまり電車やバスの公共交通機関を下りてから自宅に戻るまで、目的地にたどり着くまでのわずかな距離でもタクシーのような移動手段はより必要性を増すでしょうし、ましてや旅行のような移動の連続での疲れやリスクを回避する手段として欠かせない移動手段になることは間違いないと思います。

<貸切のメリット>
・行きたいところにどこでも行ってもらえる
・荷物を持って移動しなくてもいい
・迷子になる心配がない
・密な空間を避けて少人数で移動できる

に加えて、
・電車やバスでの移動では絶対にいけない場所にでも行ける
・お酒を飲みながら、ゆったり旅できる
・駐車場の心配なく、行きたいところで乗り降りできる
・運転してもらう家族に気遣うことなく旅ができる
などなどのメリットが発揮できるコースをあえて作って売った方がいいのではないかと思います。

「バスも電車もいけない山道から見る富士山の絶景」「すごく近道できる観光ルートあります」とか、「試飲し放題、酒蔵巡り」「ワイナリー見学後にワインを買って川原でバーベキューしながら乾杯」とか、「○○祭りのメイン会場の一番近くで降りて目の前で見学できる」とか考えられますね。
まあ、なによりご自宅から出発できるというだけでも電車やバスより強かったりしますよね。

車両タイプや貸切時間を前面に出して売るサイトではなく、バスでも電車でもマイカーでもなく、タクシーを使いたくなる目的を提案するポータルサイトがあると売れ方も変わってくると思います。
ということで、観光タクシーのポータルを再構築するならば、貸切時間と料金提示だけでなく、
・貸切時間の中でできる体験を前面に出して売る
・見学や食事の時間も含めて案内する(料金に含めならば募集型企画旅行として販売)
・電車やバスにまけないメリットを提示する
・乗務員さんのガイドノウハウや個性も売る
・できるだけ多くのコースを提示して選択肢を増やす
・貸切料金を払えるお客様に見合った宿泊施設、食事箇所の案内をする
等のしっかりとした情報量とサービスを伝える工夫のあるサイトにしたいと思います。

観光タクシー1日分の料金は、地方の1日の通常乗務の水揚げより確実に高収益でしょうから、うまく売れれば貢献度はとても高くなります。
決して安くない商品だからこその丁寧さが求められるのだと思います。
これから回復が期待される訪日インバウンド外国人向けのタクシー営業にも役立つと思います!

※新規事業100のカテゴリーは、私の思いつく観光系新規事業を日々書き留める場所。
 一緒にやれそうなときはぜひ声をかけてください。
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