観光客はどこでなにに困っているか?調査するビジネス 84/100

新規事業100

よくニュースでゴールデンウィークの渋谷の人出が去年に比べて何%増えたとか報道されていますが、あのデータは「モバイル空間統計」といって、そのエリアのドコモの携帯電話基地局が取得可能な電源ONになっているドコモ端末の台数を集計して計算したものです。定期的に取得しているので1年前との比較とかも可能です。

また、最近食べログよりも信頼感が高くなりつつあるGoogleマイビジネス(PCだと、店名とかで検索したら一番の右側に地図とともに表示されるヤツ)に表示される「混雑状況」はAndroid端末を利用しているスマホユーザーのスマホの位置情報がGoogleに送信されたものから推計をしています。ある人のスマホがお店でじっとしていれば、そのお店に滞在していると想定されたものがとGoogleで情報として公開されるしくみです。だから利用者が多いお店とか、観光施設となると今日とか今の混雑状況まで表示できるわけです。

このように今やデジタル技術により、ある程度の人流までは把握できるようになって便利な情報として開示されています。といってもNTTデータもGoogleもしっかりそれで商売してるのですが。

「観光客はどこでなにに困っているか?調査するビジネス」というタイトルですが、同じ技術を使えばできちゃいますよね。
①スマホの位置情報とその地点での「検索キーワード」
②検索結果の上位表示店舗の混雑状況
スマホユーザーの属性情報(年齢性別だけでなく、検索履歴や広告クリックデータまで)はデータ蓄積されてますし、これらに時間軸を加えることでどんな人がどこで何を検索して、その結果どういう行動を起こしたのかまでデータを拾おうと思えは拾えますよね。

・観光地で「次どうしようか?」と思う場所
・「おなかがすいたなぁ」と思う時間
・「トイレどこかなぁ」と探すタイミング
・目的地にたどり着けず、近所の人に場所を聞くところ
・なぜか迷子が発生するところ
など、

これらの行動を起こす場所って、統計を取ればだいたい同じ時間に同じところで発生していると思うんです。つまり、みんな同じように困っていることがわかっているはずなのに、その地点で有効な案内がされていないということが問題なのだと思っています。

地域の観光地でいえば、周辺に何十、何百という選択肢があるわけではありませんから、「どこで何に困っているか情報」に対する答えはある程度しぼりこむことができます。
大事なことは「毎日のように観光客に聞かれていること」をしっかりと蓄積しておいて、その答えを案内表示にすればいいし、広告に使えばいい、もっと先回りして次の行動を提案すればいいのではないかということです。

観光地で商売している人はそれぞれ一所懸命自分の仕事をしているので、「トイレの場所」をきかれても商売にならないのでどうしようとも思いません。その地域の観光客の動線全体を見まわして観光客が何に困っているか、次に何を案内すべきかを分析して提案することで、観光客の満足度は高まるでしょうし、今まで集客に困っていたお店にも光をあてることもできるはずです。

NTTやGoogleのしくみはなくても、
・地域全体の観光客を定点観測して、
・観光施設や店舗が日々観光客から受ける質問と回答を蓄積し、
・「観光客はどこでなにに困っているか?」の時間と場所を特定して
・その解決策を提案する
この繰り返しがその地域の観光の評価を高めてくれると思います。

特に、観光スポットが点在していて回遊性に問題がある観光地とか、観光客が1ヵ所に集中してしまいどうすれば分散してもらえるか悩んでいるところなどはこうした基本的な調査がとても効果的だと思います。

※新規事業100のカテゴリーは、私の思いつく観光系新規事業を日々書き留める場所。
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