ご当地の中の駅前アンテナショップ 85/100

新規事業100

駅前とか、サービスエリアとか、観光施設の中とか、観光地に行くと移動する旅におみやげを目にしますよね。最初は物珍しいのでついついじっくりと見てしまうのですが、一日同じ地域にいるとじきに見慣れてしまい、完全にスルーしてしまいます。でも、帰り際になるととたんに「何か買わなきゃ」という強迫観念の下、あらためてガン見しておみやげを選び始めます。

食べ物の場合、時間がないから選択方法は
・有名かどうか
・パッケージがいいかどうか
まずくないかどうか
・割高感がないかどうか
・以前買ったものとかぶってないかどうか
・嫌いなものが混じってないかどうか
・小分けできるかどうか
・人数にマッチしているかどうか
・食べやすいかどうか

おみやげは贈る人のセンスを見られるという恐怖心が強いから、いい表現でいえば、贈り先の方に少しでも喜んでもらいたいから、あの短時間にこれくらいの選択肢を一気にチェックしながら絞り込み作業を行うわけです。

ここで問題なのは食品の場合、「食べたことがない」こと。

昔から「名物にうまいものなし」という言葉があります。
「名物といわれているものは、実際に食べてみるとたいしておいしいものがない」ということで、有名でも評判倒れのものが多いたとえで使われるですが、おみやげ選びは「うまいかどうかわからないリスク」との戦いですよね。

コロナ禍ではあまり「旅行に行った自慢ができない」環境なので、おみやげを買うといいつつも「自分のため」に買うケースが増えていますから、なおさら?!滑りたくないはず。
「食べたことがない」リスクは、味を知らずに買って、あとから気に入らなかった時のリスクの大きさを想像すると手を出せなくなってしまうという悲しい結末につながります。

10~20年前、地域産品のブランド化が農水省によって大々的に展開された時期に「あるある」だったのが、「地域の果物のワイン化」でした。リンゴもミカンもゆずもなしもすべておみやげワインになり販売されてました。一所懸命ブランド化のために宣伝するのですが「売れない」。。。
なぜなのか?
その理由は、とにかくワイン・果実酒を作って売ればいいというミッションですから、作るだけ作ってワインボトルを並べる売るだけ。いくらお酒好きの人が多いからと言って、味がわからないお酒をいきなりフルボトルで買うにはリスクが高すぎます。しかも、マイカーで旅行しているお父さんは味見すらできない。
お酒やワインをもっと売りたいのであれば、フルボトルではなく、200ml以下のお試しサイズがまずはほしいです。

知らない土地の知らない食品を買うのは旅行客にとってはちょっとしたリスクなのです。パッケージだけでは味はわかりませんし。
結果、おみやげ売り場には地元では名店で知られている老舗の和菓子店、洋菓子店のおみやげお菓子も並んでますが、昔ながらの包装紙で10個入り、20個入り単位での販売となるとなかなか手出ししにくく、そのままだと地元の名店が埋もれてしまいます。
こういったケースは結構多いと思います。

そういった「味はいいけど宣伝は苦手」「新しいことに対応できない」老舗の名店の皆さんをもう少し引き上げてくれるお店があるといいかも。

最近のデパ地下では必ずと言っていいほどやっているのに、観光地のおみやげ屋さんではなかなかやっていないこと。

「一個売り」

ショーケースにはきれいに包装されたギフトボックスが並んでいますが、ショーケースの上には単品で買えるようにバラ売り商品をおいてくれてますよね。
スーパーと同じように試食コーナーで一口つまんだらついついその商品を買ってしまうように「食べた」ことと「食べてない」ことの差は絶対的に大きいです。

「地元の名品」を一箱ずつ売るのではなく、箱からバラしてひとつずつ買えるようにして直接味を楽しめる、単品からお試し購入できるおみやげ店があるとありがたいですね。
地域を横串にまとめることで全体を楽しめる。
これも旅先でできるひとつの体験です。

日本人はバイキングの食事が大好きですから、「つまみ食い」感覚の体験は喜ばれるのではないでしょうか。これまでは一箱単位でしか買えない「リスク」があったのですが、単品であれば、いろいろな名店の味をひとつずつ選んでリスクを避ける「メリット」になるというわけです。

これまでは大量消費の時代でしたから、箱単位で売っていればよかったのですが、これからは小分けとか単品とかによる販売データから売れる商品を考えていく必要があります。特に地域においては都市圏程の販売ボリュームがありませんので、一社ごとに得られるマーケティングデータは少ないので、単品単品のメーカー横断的な販売データを分析することで新しいヒット商品を作るヒントが得られるのではないでしょうか。老舗といわれるお店はマーケティングが苦手な場合が多いので、「一個売りで地域全体を体験してもらうおみやげ店」ってありだと思います。

「ご当地の中の駅前アンテナショップ」って感じですね。

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