訪日外国人向けご当地NIPPON学習塾 86/100

JNTOが実施した訪日インバウンド復活に向けての最新調査では、韓国、台湾、香港では、海外旅行経験者の大半が訪日旅行経験者であり、特に台湾と香港では、海外旅行実施者の約4割は訪日旅行の回数が4回以上のヘビーリピーターだということ。
インバウンド復活はまずアジアからということになりそうですね。

そして、都市圏の観光だけでなく、地域への観光への期待も高そうな兆しも現れているようです。
・【東アジア】韓国、中国、台湾、香港
  日本を旅行先として認知している層の割合が高く、東京都、大阪府・京都府以外の地域
  (地方エリア)を訪問したいと回答した割合も 7 割以上。
・【東南アジア】タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム
  シンガポールを除き、約 7~8 割の海外旅行実施者に訪日旅行経験がないものの、
  日本を旅行先として認知している層の割合は7割以上。地方エリアの訪問希望率も 7 割以上。

旅行目的では「ガストロノミー・美食」「テーマパーク」「アート鑑賞」「庭園・花鑑賞」「建築」の順でした。

夏から秋に向けてはいよいよ外国人旅行者が戻り始めそうですね。

これまでは「日本」という大くくりな観光地を目指してきていたアジアの旅行者も回数を繰り返すことにより、訪日インバウンドが最も勢いのあった2018~2019年ころは「東京」「大阪」「京都」それぞれの都市を目指しての旅行に変わり、民泊に泊まって都市観光を楽しみつつ、そこを起点にJRパスなどを使って周辺の地域に遊びに行くという行動が多かったように記憶しています。

先ほどのアンケート結果を見ると、今後、大都市以外の「地域に観光の起点が変わっていく」可能性が出てきました。このあたりがアフターコロナの特徴になりそうですね。

では、これまでと何が違うのか?

日本人の海外旅行と違い、海外からの旅行者は「滞在型」なのですが、従来、地域の観光地は日本人向けの「一泊」フォーマットでできているため、訪日外国人を誘致するためには、そこを理解しておかないと「選んでいただけない」可能性がでてきます。
大都市での観光は宿泊施設を起点に観光スポットも食事も買い物も豊富な選択肢があるから、出かける先も多く、食事もたくさんの選択肢の中から選べるので「1週間から2週間の滞在」に耐えられますが、「地域」となると大都市ほどの選択肢がありません。

「大都市」と張り合っても勝てませんから、「地域」は「地域」のやり方で受け入れを考えなければならないと思います。コロナ禍の前には、「とにかく外国人旅行者を誘致しよう」ということで、宣伝をしていましたが、今後は「どうすれば長く滞在してもらえるか」を加味しなければならないと思います。

今のところ、「大都市」と「地域」の違いは「かかわりづくり」と「体験時間」かなと思っています。

滞在型とはいえ、アジア系外国人の大都市における観光は結構忙しくあちらこちら走り回っているイメージがありましたが、その分、人と人とのかかわりを作る時間は比較的少なかったように思います。ですから、地域では「地域のことを知ってもらい」「地域の人と過ごす時間を作り」「都会ではできない体験をする」ことが大都市にはない魅力になるはずです。

新しい学習塾のあり方 1日こどもを預けられる滞在型旅ナカプログラム 50/100
という記事の中では日本人の子ども向けの学習塾を週末の観光地で開催してみてはどうかという記事でしたが、訪日外国人旅行者向けにあってもいいかもしれません。

・簡単な地域の方言を日本語で教える
・地域の観光スポットの魅力を漫画で伝える
・地域のアート、建築のことを学ぶ
・覚えた日本語を書道で書いてみる
・地域のグルメ・名産品を一緒に作る
・工芸職人に弟子入りする

などなど、「体験」としてそれぞれの主催者が販売するのもいいですが、それらをまとめて「ご当地NIPPON学習塾」という場を全国各地域に作ってみてはどうかと。
全国どこの地域に行っても地域ならではのカリキュラムが楽しめるといろんな地域に滞在して、学びながら地域のことを知り、地域の方々とかかわりを作ることができるようになるというわけです。

言語対応の問題もありますから簡単にはいかないかもしれませんが、「中国語」だけでも訪日外国人の半数はカバーできますし、「英語」を加えれば大半がカバーできます。
ハードにお金をかけるより、ソフトにお金をかけて「かかわりづくり」でサステイナブルな地域観光づくりへとシフトしていく時期なのかもしれません。

※新規事業100のカテゴリーは、私の思いつく観光系新規事業を日々書き留める場所。
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