【朗報】地域はエシカルで優位に立っている!ことを自覚してサステナブルな未来の旅を提案していこう

アイディアメモ

アフターコロナに向けて、世界中の交流が復活しつつありますが、この間、環境問題議論が一層深まり、これまでの自由奔放な旅から、環境コンシャスな「持続可能な観光(サステナブルツーリズム)」 への関心が高まっています。観光客がいなくなったベネチアでは、下水処理施設で十分な窒素除去(脱窒)が行われるようになったことにより、運河の異臭はなくなり、水は澄み、魚が泳いでいる様子が見えるようになったというニュースは記憶に新しいと思います。

サステナブルツーリズムとは「観光地の本来の姿を持続的に保つことができるように、観光地の開発やサービスのあり方を見定め旅行の設定を行うこと」であり、マスツーリズムとかオーバーツーリズムとかの結果、表面化した観光行動や観光消費による環境汚染や自然破壊などの現象を広げないために、地域の文化や自然環境に配慮し、本物を体験し味わうことなどを通し、観光地に住む住民と観光客とがどちらか一方ではなく、相互に潤うことにより持続性あるツーリズムにしようという取り組みです。

そういったトレンドが世界の観光シーンにも広がりつつありますが、エシカルな旅ナカ体験プログラムが必須になる時代 94/100 でも書いたとおり、日本国内での認知度や取り組みはまだまだこれから。
でも、訪日外国人が戻ってくるであろう来年の秋とか再来年とかまでには準備しておくべきテーマかと思います。ただ、サステナブルツーリズムと急に言われても、「なにをどうしていいやら?」「新しい取り組みは面倒」「またお金がかかるんじゃない?」みたいに思いがちですね。

上述の通り、サステナブルツーリズムはマスツーリズムとかオーバーツーリズムとかの裏返し。
大量輸送・大量消費ではなく、ひとつひとつを丁寧に、時間をかけて作ったり、おもてなしをすることを「高付加価値商品・サービス」として提供するという発想でいいのではないかと思います。

ということは、地域にとっては無理なくできる「昔のくらし」だったり、「日常生活」にヒントがありそうです。

そこで思いついたのですが、
地域の日常の中には結構環境ダメージがなく、無駄がなく、昔から引き継がれてきたものが多く存在しますよね。そう、電気もガスもない時代から脈々と地域で作られている作物や加工品、それを引き継ぐカルチャー、それらすべてがサステナブルだし、エシカル(倫理的によい)なものです。みんなソーシャルグッドなものばかり。

そうです。地域は都会に対して「エシカルでとても優位性が高い」と自覚すべきなのです。
そして、マーケティングを変えるとそのチャンスが見えてきます。

「漬物」というと古臭い食べ物かもしれませんが、電気もガスも使わずに作れる優秀な保存食です。発酵食品全般がそうといえますね。
それをマーケティングの切り口を変えて「電気もガスも使わないエコな食品。地域のエシカル消費の代表的なローカルフード」という説明をつけるとなんだか「価値の高い」食べ物に変わりませんか?
それを炭素ガスを排出するトラックも使わずに地産地消でいただけばフードマイレージ(食料が消費者に届くまでに輸送される距離)もかからない。

よく「グルメは情報を食べているようなもの」と揶揄する言葉を聞きますが、私は自分の舌を信用していないのでこの言葉には同意してしまいます。「自分の好きな人」「尊敬する人」「権威のある料理人」とかが「うまい」「すばらしい」と解説付きで説明を受けたうえでそれを食べると「とてもおいしく」感じてしまいます(笑)

地域のために、地域のよいところをしっかりと「見える化」「情報化」して伝え方を変えてみるとサステナブルな地域づくり、観光受け入れ体制づくりに貢献できるのではないかと思います。
これからの環境意識が高い系のツーリストは、旅行をすることで二酸化炭素の排出、石油使用など、環境に負荷をかけてしまっている以上、どこかでそれをカバーしたいという気持ちが必ず生まれますので、地域としてその気持ちを和らげる情報を提供することでツーリストが納得して楽しんでくれるのであれば、「相互に潤うことにより持続性あるツーリズム」になるのではないでしょうか?

そういったサステナブルでエシカルなタネは地域にたくさんあると思います。
地域にとっての日常は、ひとつひとつを丁寧に、時間をかけて作ったり、おもてなしをすることを「高付加価値商品・サービス」として提供するというのがこれからのサステナブルツーリズムへの入り口なのかもしれませんね。